〔７〕 ページ32
.
蒼弥「お試し期間終わりだっけ？」
昼休みの教室。
フラりと俺のもとにやってきた彼は、いつものように前の席に腰かけながらそう言った。
龍我『うん、今日で終わり』
蒼弥「で、どうすんの」
龍我『どうするって、そんなの…』
もともと好きになれなかったら終わりっていう約束だった。
Aちゃんといるのは楽しかったけど、結局好きなのかどうかは最後までわからなくて……約束通りでいったら恋人期間は終わりなんだろう。
龍我『ねぇ、好きってどんな感じ？』
蒼弥「またそれか(笑)」
「俺の考えだからな」って前置きした猪狩くんがゆっくり口を開く。
前は答えてくれなかったけど、どうやら今回は答えてくれるらしい。
蒼弥「例えばさ、なんか美味しいもの食べたときに、あぁ…食べさせたいなとか一緒に食べたいなとか思って」
龍我『うん、』
蒼弥「なんか面白いことがあったら一番に話したいって思うのに…そのくせ、いざその場面になったらうまく話せなくて」
猪狩くんは愛おしいものを見るような柔らかな表情で、言葉を紡いでいく。
蒼弥「もっと近づきたいけど拒絶されるのが怖くて何もできないくせに、でもやっぱり今の関係とか距離感とかどうにかしたくて…バカみたいに足掻いて、もがくんだよ」
なんだろう。
分かりそうで、分からない。
恋って…好きって…やっぱり難しい。
蒼弥「自分の中の嬉しいも、楽しいも、苦しいも、悲しいも、怒りも、全部その人に支配されてるような、そんな感じ」
龍我『ふーん…なんか、よくわかんないね』
蒼弥「だから俺の考えだって言ったろ(笑)」
龍我『じゃあさ、猪狩くんは恋してて幸せなの？苦しいの？』
その問いかけに猪狩くんは一瞬だけ困ったように眉を下げると、「そんなのどっちもだよ」ってぶっきらぼうに答えた。
猪狩「幸せだけど苦しいし…でもやっぱり幸せだし。いろんな感情がごちゃ混ぜになって、それ全部ひっくるめて恋なんだから」
同い年のはずなのに猪狩くんが俺よりも大人に見えるのは、やっぱり彼が恋をしているからなのかもしれない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 867人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rw(プロフ) - はじめまして、ここにある秘め事を読みたいのですが方法を教えていただけると嬉しいです。 (2021年11月22日 16時) (
レス) id: 414a799d61 (このIDを非表示/違反報告)
まのか(プロフ) - こんにちは、この作品はいつもキュンキュンしながら読んでおります、笑 質問なんですが、ここに載っている秘め事を読みたいのですが、方法を教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: bfb771389e (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - はじめまして！東京B少年担の清良です！読みやすくて一人でにやけながら読んでます笑秘め事を読みたいのですがどうすれば良いですか？ (2018年12月12日 3時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
ななかい(プロフ) - riyonaさん» メッセージ見ました！ 本当にありがとうございます！ (2018年4月29日 9時) (レス) id: 93b24dcd2b (このIDを非表示/違反報告)
riyona(プロフ) - ななかいさん» 遅くなりまして申し訳ございません。メッセージをお送りしました。ご確認ください。 (2018年4月29日 0時) (レス) id: 5a9baba37b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りゅりゅ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時：2018年4月15日 8時
