恋を知ったOL【灰谷竜胆】

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しばらくして地元の最寄駅へ到着すると、改札口に父を見つける。






『お父さん！』





「A、仕事中にごめんな。母さん、今検査中だ。」





目を伏せて言う父は元気がなくて、母を心配している様子だ。



父の背中をポンと叩くと、俯いた顔をあげて車まで案内してくれた。



病院に向かう車内は静かで、とても長く感じた。



お母さん、体悪くしてるとかなかったんだけどな…。





「先生、妻の様子は…。」





病院に到着すると母は一般病棟に移されていて、担当医の先生に父が問う。



すると、先生はニッコリ笑って言った。






「精密検査致しましたが、別状悪い所は見つかりませんでした。睡眠不足に過労がたたったのでしょう。」





私と父は顔を見合わせて安堵のため息を漏らした。



本当に良かった。



てか睡眠不足ってなんだ？





「心配かけちゃったね、来てくれてありがとう、A。」





先生にお礼を言って病室に向かうと、母がベッドで体を起こしていた。






『ほんとだよ…。会社2週間も休みくれたよ。』





「あら、いい会社じゃない。」





呑気にクスクス笑う母に、睡眠不足の件を聞くと韓流ドラマにハマっちゃってなんて言うもんだから、盛大なため息をつく。



飲み物を買って来ると席を立った父を見送ると、母は言った。





「あんた、好きな人いるでしょ。」





ドキリと鳴る心臓。





『な、なんで？』





「母親舐めんじゃないわよ、顔見たら分かる。」





ニコニコ笑う母は、どんな人なの？と続ける。



意を決して、私は母に言った。

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