恋を知ったOL【灰谷竜胆】

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竜胆さんが支払いしてくれたってこと？



てか私が居たってことバレてるよな…。





「おいA、水溢れてんぞー。」





『え…やば！ごめん！』





一虎くんの声に慌てて蛇口を捻るが、跳ねた水でエプロンが少し濡れている。





「どうしたっすか？体調悪い？」





『ううん、ごめんね。ちょっと変えてくる。』





後ろ手にエプロンを外しながら更衣室に戻ると、スマホに通知が入っているのが見えた。



見るだけ見ていこ。



トークアプリを開くと、父からだ。





【母さんが倒れた】

【戻ってこれそうか？】






お母さんが！？嘘……！



私はスマホを置くと、急いで千冬くんに休みを申し出る。





『千冬くん、母が倒れちゃって……。』





「今日から2週間休みで大丈夫っすよ。大事な人の所、早く行ってやってください。」





私の話を冒頭だけ聞くと、千冬くんはすぐに休みを手配してくれた。



私は荷物を持ってすぐに店を出ると、そのまま電車に飛び乗った。





【今電車乗った】

【すぐ着くよ】





メッセージを送信して、スマホを閉じた。



私の地元は同じく都内にあり、それほど時間もかからない。



はやる気持ちを落ち着かせる為、ネットニュースを開くと、“梵天”の文字に目が止まった。



大きな抗争が今リアルタイムで起こっているらしい。



銃撃戦という文字に冷や汗が滲む。



竜胆さんは無事かな…怪我してほしくないなぁ。



太陽が傾いて水平線へ沈んでいく空を見ながら、電車に揺られた。

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