３１ ページ32
.
エレベーターに乗って部屋の前に着くと、
震える手でインターホンを押した。
数分後、ガチャンと鍵を開ける音がしてドアから顔を出したのは、
「やっほ〜〜」
根元が少し暗めのゴールド系ブロンドヘア。
首元まで伸びた長めの髪。
日本人離れしている中性的な顔立ち。
俺より少し高い身長。
微笑み、というか、ニヤリと言ったほうが合うであろう笑みを浮かべたその男性？は「入って！」っと爽やかに言った。
いやいや、誰？
ここAの家やんな？
不信感しかないのに、すんなりと入ってしまったのは、少しでもAのことが知りたいから。
ローファーを脱ぎ、中に入って案内されたのは
白に統一されたリビング。
ソファから、テーブルから、テレビから。
全てのものが白。
そんな清楚な部屋と、
入ったときに香ったラベンダーの香りがAの部屋だということを証明した。
「適当に好きな場所に座っていいよ！
君の求めている僕の犬、もうすぐ帰ってくるから。」
ふわっと笑うその笑顔は、傍から見れば天使のようなのに、
今の俺には悪魔にしか見えなくて体が震えた。
“ 僕の犬 ”？
犬、って言うんだから、ペットに違いない。
Aだなんて考えは今すぐ捨てろ。
彼女は犬じゃない。
俺の大事な想い人。
きっと、この人のペットをAが散歩しに行ってるんだ。
そう、きっとそのはず。
とりあえず目に付いたソファの横に正座して座り込むと、「ふふ、」っと笑い声が聞こえた。
「そんなフローリングの上になんか座らずにソファに座っていいよ」
陶器のカップをソファの前のテーブルに置きながら、笑いながらそう言った。
「すいません。」
って一応謝りを入れ、ソファに座り直す。
「アールグレイって平気？
自分で淹れるのなんて久しぶりだから美味しいかはわからないけどどうぞ！」
そうとだけ言って、近くの椅子に腰掛けたそいつに、「あの、」っと声をかけた。
「ん〜？」
「あなたは、誰なんですか？」
手汗が滲む掌を握ってへらへらと笑うそいつに聞けば、
初めて顔を合わせた時のように、ニヤリと笑った。
「聞きたい？
あのね、僕は、
Aの
○
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…！これからも応援しています、頑張って下さい！ (2017年12月29日 9時) (
レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…！！読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります！ありがとうございました！ (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します！！すごくいい話ですね！！泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください！！応援してます！！ (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまみや。 | 作成日時：2017年1月10日 17時
