虹ヶ原リバーハウス２ - JW

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- side Fuji -




あんまり好きやない人混み。


でも、左手には好きな人の手。


だからなるべく優しく、離さんように力を込めて、強く握る。



青「A、手離さんようにな」



俺がそう言ったのとほぼ同時に、Aの手が離れた。



青「A!?」



周りは俺よりか背低い人らばっかりやったけど、そんな中にもAは埋もれてもうて。


名前を呼んでもガヤガヤしとって聞こえへんし、見慣れへん人らの頭しか見えへん。


しっかりせな、アカンのに。



結局Aが見つからないまま、売店の前までたどり着いた。


そこにはもうみんなも集まっとって、でもAの姿はなくて。



黄「流星、Aは？」


青「……はぐれてもうた」


緑「アカン、探しに行かな」


赤「電話したほうが早いんちゃうん？」


紫「かけてみたけど繋がらん」


緑「A、どないしよ……」


黄「神ちゃんが焦ったってしゃあないやろ」


緑「ひとりにしたらアカンねん」


橙「もんち、落ち着き？」


緑「さっきみたいなことになったらどうすんねん！」



さっき、って多分おばけ屋敷のときのことやんな。


詳しくは聞かんかったけど、何かあったらしいことはわかってた。


今も、神ちゃんの様子はあきらかにおかしい。


いてもたってもいられんくなった俺は、人混みに逆らって歩き出しとった。



緑「流星！ 俺も――」


桃「神ちゃん、流星に行かせてやってくれへん？」


緑「んな悠長なこと言ってられへんやろ！」


桃「大丈夫。絶対に流星なら見つけて来るから」



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