皆集まれェェエエ！！自由な私達の（非）日常的学園物語！3【オリジナル合作小説】 (ページ20)

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ユーリアの瞳に映るもの【痣路不】ページ20

ほんの数分の間に、ユーリアの眼の前ではいろんなことが起こった。
まずは幼女が自己紹介をした瞬間に鬼灯がその幼女に抱きつきその後幼女の保護者らしき青年が幼女を抱き上げその青年にユリが話しかけゲーム談義で盛り上がり…幼女の比較的遠いところでは虎太郎が白犬とともにこちらを見ていたかと思いきや虎太郎は踵を返して校内へ戻って行ったり……とにかくいろんなことが起きた。
そんなちょっとした混乱の中、ユーリアは面倒臭そうにこの学園では珍しい白い制服のズボンのポケットに手を入れて立っていた。その立ち姿は他の者とは違い、何処か妖艶で何処か可憐だった。その美しい顔には、いつも通りの笑みが浮かんでいる。

(いすゞちゃんはかんなちゃんに夢中。ユリちゃんは男の子とお話しするのに夢中)

ユーリアはいすゞの方へ目を向け、今度は心の中でこう言った。

(虎太郎は校内へ戻っちゃったみたいだから、暇だし虎太郎にちょっかいだしにいこうかなぁ)

そして、悪巧みをしているような、人を嘲笑うような…そんな笑みを浮かべてみせた。
ユーリアはその目を今度は神無に向けた。周囲の生徒には聞こえないくらいまで距離を詰め、ユーリアは煽るように、でも悪気がなさそうに言い放った。

「かんなちゃん、演劇部にでも入ったらどうかな？きっと活躍出来ると思うよ！だって、上手だもん。他の人は気付かないよ」

そこまで言うと満足したのか、くるりとターンして今度はユリと話す青年の元へと駆け寄った。

「ねえ君。名前はわからないけど、ご先祖様はしっかり守らないと。ガードが甘過ぎるよ？」

ニコニコと愉快そうに笑いながら、ユーリアは今度こそと校内へ足を進めた。恐らく、虎太郎と接触するのか目的だろう。

(虎太郎に教えてあげないとな)

ユーリアは楽しげにクスクスと笑いながら、長い髪をまとめたポニーテールを揺らして虎太郎の背中を追った。