雪の日に拾ったのは犯罪芸術家でした。 Forth

雪解け水4滴 ページ5

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　「……頼んどいてなんだけど、よくそんなに調べられたね。時間なかったのに」



　「旦那の上司……あ、面識あったんだっけ、



　明智警視が長く追っている犯人なんだって」




　「明智さんも……！？」





　じゃあもしかして、明智さんもはじめと同じ結論に辿り着いてるんじゃ……




　早とちりしてあの二人に聞かなくて良かったと心底思った。






　「警視うちにご飯食べに来たことあってね？



　その時にいろいろ聞いたのよ」



　「ちょっと待ってご飯食べに？」





　成り行きで？と小首を傾げる美千留さん。



　記者のコミュ力半端ない。





　「さっき言ったマジックの話なんだけどね、



　薫ちゃん……知ってる？近宮玲子さん」




　「勿論。…………え」





　このタイミングで彼女が出てくるという事は。




　「彼と明智さんが出逢った事件の時にね、はっきり言ったそうなのよ。






　『自分は近宮玲子の血を受け継ぐ息子』と」






　玲子さんの、息子。



　遙治…………違う。






　高遠遙一が。あの男が。



　反射的に唇をきつく噛んだ。




　痛みと僅かにする鉄の味に飛び出かけていた嗚咽が逆流しておさまる。



　呼び出して聞いておいて勝手に泣き出すなんて迷惑極まりない。



　それに今感情を露にすれば、絶対に彼女は、美千留さんは何か勘づく。




　これ以上勝手な都合に巻き込みたくない。






　「そうなんだ……色々とありがとう」



　「…………」





　美千留さんが腕を伸ばすと、いきなり私の頭を抱え込むようにして抱きしめた。





　「美千留さん？」



　「……力になれることがあったら何でも言って。



　何時でも遊びにきて良いからね。そしたらうちの子達も相手してあげて」




　「え、子どもいるの？」



　「今四歳と一歳。」



　マジか。




　「……今度行かせていただきますね」





　美千留さんのおかげで少しばかり晴れた気分で、別れを告げて帰路についた。









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