雪の日に拾ったのは犯罪芸術家でした。 Forth

雪解け水24滴 ページ25

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　「全然男っ気ないんですね、別れても新しい人直ぐ見つけるかと思ってたのに」




　「……その図々しさはもう諦めることにしますね」




　毒なのかどうかすらもはや分かんねえ



　精一杯の反撃も、ではお願いしますといともにこやかに返された。





　「言ったじゃないですか、この前。


　恋人は彼以外見つけようとも思いませんよ」




　「……そうでしたね」



　「幸い口煩く言う家族も居ないので」




　わざと嬉々として言い放った。





　「……もし、彼が戻ってきたら」


　「はい？」




　聞こえないフリもわざとだ。



　いえ、と彼は言葉を濁した。



　焦げ茶色の液体が揺れるカップを二つ手に持って、彼の前に置く。




　白い唇が一口啜った。



　私も二口ほど飲み、喉の奥に落ちたその独特の苦味と微かな酸味を口の中で反芻して楽しむ。





　さて。





　今度は此方から聞いてみようか。





　「珈琲どうですか？私も好きなんですけど」



　「ええ、好きな味です。美味しいですよ」






　答えを聞いて、息をついて、テーブルにカップを置いた。






　「良かった。

















　お前が好きって言ってた味だよ、遙治」









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