若葉12枚 ページ13
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ありふれた話だ。
若く、世間知らずだった私はいとも容易く恋をし、突っ走り、彼に体を委ねた。
幾度かそうした後急に冷たい態度をとられるようになり、気を引きたくて避妊具に穴を空けることを続けた。
何週間かして、身籠ったことを告げると。
堕胎はしてもしなくてもどちらでもいい、但し認知はしないと。
凍えきった瞳で言い放たれた。
私は彼にとって都合のよい女だったのだと。
周りに流されていなかったのが、ただ自分以外に無関心なだけだったのだと悟った。
その言葉を突きつけられて、直ぐ仕事は休みをとった。
堕ろすことが可能な期間ギリギリまで考え抜きたかったから。
産むとなれば、必然的に止めなければいけない。
産休なんかとったら邪推されるに決まってる。
そこで、迷いが生じてしまった。
決して好きで入ったわけではない今の職場。
しかし、安定した収入はある。
この都会で、生んだばかりの子を抱えながら職を探すのは言ってしまえば不可能だ。
折角産んでも親子諸共行き倒れるかもしれない。
ひたすらに堂々巡りの問いに答えを出したのは、三日目の朝だった。
*
**
私には、親になる資格がない。
最終結論がそれだった。
私はこの子を産んだだけ。母とは呼べない。
けどこの子の命を絶つ資格すらもないから。
だから、捨てた。
せめてもの義務と名前をつけて。
その名はもう忘れてしまった。
女の子だけだったことだけは、覚えている。
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camellia(プロフ) - すぃさん» ありがとうございます! SideStoryの方もよろしければお願いします! (2019年10月20日 12時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
すぃ - 面白かったです! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 045c20b509 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - シリウス1315さん» ありがとうございます!! ストーリーは途中途中色んな方向に飛んでってしまってましたが、なんとか終わらせられて良かったです。次回作はもう少しお待ちくださいすみません() SideStoryもよろしくお願いします! (2019年8月22日 7時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
シリウス1315 - 完結おめでとうございます!ストーリーも読み応えがあって、とても面白かったです!毎回お話更新を楽しみにしながら読ませていただきました。SideStoryおよび次回作も頑張ってください!応援してます! (2019年8月22日 2時) (レス) id: ff0fc740f2 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - シェリーさん» 遅れてません、大丈夫ですよ。2回も労いのお言葉こちらこそありがとうございます!!!SideStoryに乞うご期待です!!! (2019年8月17日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2019年7月19日 17時