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クレアに何を言われるかわかったものじゃない。
オレは、ルシフの腕を掴むと強引に引っ張り部屋の中に入れる。
そして、ベッドの上に押し倒すと、そのままオレも横になる。
さすがに驚いたのか、ルシフは起き上がってベッドから抜け出そうとする。
そんなことは織り込み済みだ。
起き上がったルシフを抱きまくらのように抱え、そのまま寝る体制に入る。
「じゃあルシフ、おやすみ」
「先にこの手を───はぁ、まあいいか。
ウラタ様、この体制で申し訳ございませんが、あちらのベッドをお使いください」
ウラタにもう一つのベッドを使うよう進めるルシフの声を子守唄に意識を微睡ませていった。
ルシフSide
やっと寝たか。
おれは小さくため息をつく。
ゼオルが眠ったのを確認すると、ゆっくりと身体を起こす。
ウラタ様も寝ているようだ。
立ち寄ったのと、肩慣らしのついでに周りの魔獣の目減らしくらいしておくか。
前までは年に一度の魔物の繁殖期に合わせてきてたけど、今年はそうもいかないだろうし……。
「さて……、失礼いたします」
寝ている二人に向かって申し訳程度の離席の挨拶を向ける。
そして、ドアノブに手をかけ外に出ようとした時、後ろから服を引っ張られる感覚がして振り向く。
すると、ウラタ様が目を覚まして、おれの服を掴んでいた。
ウラタ様に引っ張られ、再びベッドに腰掛ける形となる。
ウラタ様はおれをどうしても部屋から出したくないらしい。
半分寝ぼけてはいるものの、掴んだ手は離れそうにない。
目を覚まして、と言っても、半分寝ているようなものだが。
「どこ、行くの?」
「申し訳ありません。今のうちにこの周辺にいる魔獣の目減らしをと思いまして」
今年はこれそうにありませんし、なんて付け足せば、しゅんとした表情を作る。
う、罪悪感。どうせすぐに終わるし、そんな顔しないでほしい。
ウラタ様はおれの袖を掴んだまま、うーんと悩んでいる。
ウラタ様が悩む理由がわからないが、そんなに悩むことだろうか。
やがて何か思いついたようで、ウラタ様は顔を輝かせると、ベッドにおれを掴んだままベッドの中に引きずり込む。
下手に抵抗、はやめておいたほうが身のためだな。
……お互いに。
「お手を離してはいただけませんか」
「や。毎年連れてきてあげるから、今は、一緒に寝よ……」
お願いするおれに、嫌の一言で拒否するウラタ様に、代わりの条件を提示される。
まぁ、必ずやらなきゃいけないことでもないし……。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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