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結んだ直後のワーウ家の領主がルシフの父親のせいもあるが。
それをルシフは、孤児院に行っては子どもたちと遊び、学びを教えた。
街にいる困っている人には助言をする。
ずっとニコニコして、人畜無害な顔をしていたよ。
父親が迷惑をかけた貴族がいるとわかれば、菓子折りを持って直々に護衛もつけずに行って、頭を下げた。
その人が領主だったら、街のことを褒めたりもしたな。
「ルシフは昔から礼儀正しかったんだ」
「そう」
それから、貴族平民関わらず、迷惑をかけた人にはお礼としてできることなら何でもすると、そう約束した。
未だに借りを返せていない貴族もいるくらい、沢山の人に迷惑をかけたな。
そのくらい、父親は人でなしだ。
今でも変わっていないらしいな。
まぁそれは置いておいて、魔族というのは、たくさんの種族が混じっていることもあって、壁というのはそんなにない。
人間の血が混じってるからと迫害する人もいなかったし、多分、いても返り討ちにされていただろうな。
礼儀正しく、文武両道、義理堅い人なんて、人族にも魔族にも、早々いるものじゃない。
すぐにとけこんだよ。
「今でもたまに手伝ってくれたりするから、ルシフはもう、街の人気者だ」
「そんなふうに思われてたのか」
ルシフは、オレのひとり語りを聞いたあと、知らなかったと驚いたような顔をした。
そりゃそうだ、気づいたら街の和の中に入って、いつの間にか中心にいたのだから。
しかも、気づいてみれば、皆が助けてくれている。
本人は意識していないだろう。
それでも確実に、ルシフはみんなに慕われている。
「魔族は、人間より強いですが、優しいやつは優しいです。ゼオルみたいに、仕事をサボるやつもいますが、」
「ぐぅ……」
「おれたち人族よりはよっぽどはたらきものですよ。あとは、先入観とか、固定概念にとらわれないところが好きです。ウラタ様も、街に行けばわかると思いますよ」
ウラタは少し考えた後、考えておくと答えた。
それから、ウラタは、オレたちにまた機会があったらもっと話してほしいと言ったので、もちろんだと答える。
ウラタは、まだ魔族のことをちゃんと知らない。
でも知ろうとしている彼はいい方で、大抵の人は知りもせず、拒絶する人が多いと聞く。
もっと俺たちのことを知って、もっと無害であることをわかってほしいのだが。
「もう十分散策しただろ、早く宿に戻って寝たほうがいい」
「明日はどのくらいかかる?」
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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