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設営をしてくれたのは路地の方や、スラム予備軍あたりでたむろしていた大人たち。
子どもは孤児かどうかの確認をして、孤児なら孤児院に預けてきた。
これから聞くことは、明日の片付けを手伝ってくれるのかとか、これから何をするかとか。
残念ながらおれは雇えないけど、紹介状くらいなら書いてやれるとか。
「今お時間いいですか」
「アンタ……ご領主さま!?」
「ご領主さまが俺らみてぇなヤツらに何のようです?」
お酒を飲んで馬鹿騒ぎを始めようとしている路地の人の肩を軽く叩いて声をかけると、ざわめきが広がる。
肝の座った人が要件を訪ねてきた。
普通の人が貴族に話しかけられたらもっとビクビクするものだろ。
話しやすくてありがたいけど。
「できれば、設営した物の片付けもお願いしたいのですが、どうですか? もちろん、設営時と同じだけの給料を約束します。日雇いなので、終了時にはちゃんと手渡します」
ペラペラと条件を並べ立てて、仕事をしてくれないかと頼む。
すると、おれが話しかけたときと同じように、たまざわめきが広がった。
そんなに驚くことだろうか、なんて、思わず心のなかで首を傾げてしまった。
「仕事をくれるんはありがてぇ、です。参加させてもらいます」
「全員参加ですね。では明日の七時にこの広場に集まってください」
代表格のような大男の人が参加表明をしたので、全員参加にしておく。
えーと、3,000C✕40人だから、120,000C用意しとかないと。
税金から給料を出すのはもちろん、昼めしくらいは出してやるか。
名簿は昨日のやつを流用して……。
「ルーシフっ。怖い顔なってんで?」
「ん、ああ、サカタ様」
ぎゅうっという効果音が聞こえそうな力で背後から抱きしめてくる坂田様の声が真隣から聞こえたので、そちらに視線を動かした。
視線がかちあい、坂田様は満足げな笑顔に変わった。
怖い顔なんてしていただろうか。
「随分と近くないですか」
「そんなこと無いで? てか、眉間がすんごいしわしわやったよ」
呆れ混じりに軽く押しのけると、気の所為だとしてまた抱きつき、おれの眉間をぐりぐりとマッサージして伸ばす。
友達はこーゆー距離やろ、なんていわれてしまえば、ぐうの音も出ない。
友人判定になっていることは置いといて、そんな関係性の人はいなかったし。
「ご領主さま、そちらは……」
「学友のサカタです」
戸惑う彼らに簡単な紹介をして、軽く会釈をしつつその場を立ち去る。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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