84. ページ36
ウラタ様、センラ様、ウラタ様のとなりにエルさんを座らせ、ベルフェゴールの頼み事をする。
馬車に乗り込んで扉を閉じた。
ベルフェゴールはふわりと飛び上がって窓から見えなくなる。
宣言通り屋根の上にでも乗ったのだろう。
「はいはい、それじゃあかけるよ。ちちんぷいぷいのぷい」
悪魔由来の魔力を肌で感じながら御者台につながる小窓からスミスに出るよう指示を出す。
両サイドの大きい窓からは王都のきれいな町並みと路地裏からたまに見えるスラム街の暗闇が背中側から前方に向かって流れていく。
「それで、ルシフ。意見を聞きたくて」
ゴソゴソと回収されなかった方のカバンから数字がいくつか書かれた紙、文字がびっしり書かれた紙、グラフの書かれた紙の三種類を取り出した。
オレなんかよりもセンラ様のほうが試験などのは上だろうから、おれよりも頭はいいと思うのだが、そんな人が意見を求めてくるとは。
一年に三回ある試験は、花休み明け一週間後、陽休み明け一週間後、雪休み明け一週間後とある。
一年生は入学時の学力を測るのに、花休み明けの試験を受ける。
これは一次試験という。
今年は特例に特例が積み重なって後回しになったせいでおれは受けられていないけど。
「宰相の仕事、でしょうか」
「せやねん。将来的には宰相になるんやから今のうちに学んでもええやろって」
おれの質問にセンラ様は苦笑いで応える。
宰相は本来、世襲制ではない。
王宮内の腐敗を防ぐとともに、王国が愚かになっていく、つまり、傾くことを防ぐためだ。
宰相はそれぞれの組織への内訳や保証金を出すかどうかなどの決定権を持っている。
ほかにも戦争時には指揮を執るし、戦略も練る。
何でもできる人が就く地位である。
最終決定権は王族にあるとはいえ、宰相の決定がでた申請のほうが通りやすい。
多くの情報が集まりやすいが、判断力にも優れているために宰相の意見は重宝される。
むしろ、重宝されすぎて、今は亡きとある国は政治を宰相に任せっきりになり、国が傾いたこともあるらしい。
「随分と期待されていらっしゃいますね」
「まぁ、それだけならええねんけどなぁ」
無難な返しをすると、影のある笑顔で笑った。
その表情をごまかすように、本題やけど、とセンラ様は言って、資料を膝の上に広げる。
テーマは、減税について。
「下記の理由により、減税を要求する……」
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ