82. ページ34
センラ様がわざとらしく敬語を使って尋ねてくる。
正直に答えれば、あぁー……。
なんて知ったような口を聞く。
どうしてうちの使用人の気持ちが分かるんだ。
おれは分からない、というか、絶対好きなものを作るとか嘘なのに。
貴族間の隠語とかだったりするのか?
おれは知らないのに?
「ルシフは好きなご飯とかないん?」
「料理を好き嫌いで判断したことはないです」
ふと気になったらしく、サカタ様がセンラ様の後ろから顔をのぞかせなが聞いてくる。
好きな食べ物か。
強いて言うなら、仕事の片手間に食べられて、少量で十分栄養が取れるような物とか。
「ルシフらしいというかなんというか」
「おーい、さかたー、ラマンー、ルシフー、ベルちゃーん!」
はは、と短く笑うセンラ様に首を傾げているとウラタ様がおれたちに向かって声をかける。
どうしてそのなかにおれの名前があるのかははなはだ疑問だけれど。
「うらさん、まーしー!」
「おーい、さかたー、ラマンー、ルシフー、ベルちゃーん!」
はは、と短く笑うセンラ様に首を傾げているとウラタ様がおれたちに向かって声をかける。
どうしてそのなかにおれの名前があるのかははなはだ疑問だけれど。
「ウラタさん!」
サカタ様も呼応するように手を振っていると、エルさんがいきなりウラタ様の名前を呼びながら駆け寄る。
平等とは言え、流石に酷い。
一国の主になる方に対して『さん』で済ませるとか。
「えっと、ルシフ、説明頼む」
「承りました。そちらのエルさんは、ウラタ様たちと一緒におれの寮で行われる感謝祭に行きたいそうです。なので、エルさんには一番上の位であるウラタ様から許可が下りれば、という話をしておりました。そしてちょうど授業終わりに帰ったところにウラタ様とシマ様が通りかかった次第にございます」
いきなりエルさんに腕を組まれ、困惑した様子のウラタ様がこちらに助けを求めるような目で見てくる。
ウラタ様の指示に従って要約した出来事を伝える。
エルさんが話を理解してくれずに駄々をこねたとか、その辺りは言わないでおいた。
彼女の名誉のために。
「あー、俺が嫌って言ったら一緒に行けないってこと?」
「左様にございます」
状況を理解したウラタ様が例え話を出し、それを肯定する。
俺からすれば、王族の機嫌を損ねる方が不利になるし。
流石に度が過ぎた要求とかは飲めないけど。
一族全員牢獄行きとか。
「んー、まぁいいよ」
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ