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75. ページ27

「いやいや。俺たちのわがままなんだし、そんな遠慮すんなって」


お忍びで行きたいから馬車に乗せてよ、なんて気軽にウラタ様は言う。
公爵家の馬車だから、それなりに快適とはいえ、王族が使うような馬車とは違う。
あくまでも公爵家なのだ。
王族に献上できるレベルの製品ではないことを意味している。

とはいえ一介の貴族でしかないこちらに拒否権はないので従うしかないのだが、文句は言わないでほしい。
ここ三ヶ月、関わりを断ち切れずにズルズルと一緒にいて、ウラタ様がそんな人ではないとわかってはいるが。


「……ご命令とあらば」

「嫌ならいいんだよ?」

「いえ。ただ、一緒に従者を乗せるとしても一人まででお願いします。他の方はどうするかわかりませんが」

「オレとさかたは外で護衛してればええんとちゃう? うらたさんとセンラくんとルシフで馬車おればええやろ。あとタナカさん」


お忍びっちゅーことは誰もつけへんのやろ? なんて、快活に笑ってそんなことを言う。
おれとしては、異議を唱えるつもりはないが。
センラ様はおれと相乗りして良いのか?
というか、オレの馬車に乗り込んで良いのか??

センラ様も公爵では王家派で、おれは勝手に庶民派だと思われている。
残りの三家の内、一家は王家派、二家は貴族派。
庶民派というのは、王家にも貴族にも反感を持っている立ち位置という意味らしい。

そもそもおれは中立で、襲われでもしない限りこちらから手を出すことはない。
それに、肩入れはしないものの、友好的に接されればこちらも友好的に返す。
ただ、あくまで味方はしないと言うだけだ。


「決まったのなら、今回は解散といたしましょうか」

「もうそんな時間か。じゃ、当日よろしく」

「つっても、一緒に教室行くけどな」


サカタ様とシマ様の木刀も回収しながらそう声をかける。
おれの言葉を聞き、地べたにそのまま座っていたウラタ様たちは立ち上がってお尻に着いた砂をはたいて落とす。

そういえば、今のおれの立場がどうなってるかは知らない。
入学先のとき、一緒に入ったこともあり、不仲ではないアピールになっただろう。
当時のウラタ様の思惑がどうなのかなどは知らないが。
少なくとも、王家派寄りになっただろうか。


どちらにせよ、来賓に悪魔がいる我が家は危険視すべき対象だろうが……。
感謝祭は無事に終わらせられるだろうか。

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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんしゅ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年5月15日 1時

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