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「ルシフ! 怪我してない? 大丈夫?
それと、お初にお目にかかります」
「あぁ、敬語はなくて構わん。よろしく、ウラタ」
「よろしく、ゼオル」
お互いが握手を交わしていると、突然横から突き飛ばされた。
どうやらサカタ様が突き飛ばしたようで、彼は眉間にシワを寄せて彼を見つめている。
なぜ突き飛ばすんですか、と文句を言い始める前に、ゼオルは仲いいな、なんていう。
これがか?
ウラタ様は王家とワーウ家の結びつき、サカタ様たちはそれに合わせて構ってくれているだけで、別に仲のいいわけではないと思うが。
確かに悪くはないだろうけれど。
目先の目標はとりあえずゼオルの家、魔王城に行くことなのだが。
ゼオルは元の姿である黒竜になり、おれをウラタ様を背中に投げて乗せて移動を始める。
「もう少し時間がかかる。寝ていてもいいのだぞ?」
「助かる。少し魔力を消耗しすぎてたんだ……」
目を閉じると、すぐに眠気が襲ってきた。
ゼオルSide
「なぁウラタ、ルシフはよくやっているか?」
「まぁ正直、ルシフは多分学園内では一番強い、と思う。迷宮事件も、一番に抜けたし、魔族を倒せる人なんてそうそういないし」
背中の上で眠るルシフを見ながら、ウラタに尋ねると、彼は応える。
確かに魔族は別格の強さを誇るが、それでも人間でも魔族の討伐は可能なはずだ。
ただそれは、冒険者だとかいうふうに呼ばれる人がやった場合の話であり、戦闘経験が少ない中央貴族や王族が行ったとしても不可能に近い。
それを簡単にやってのける彼にはオレから見ても本当に強いと思う。
そりゃ学園内で最強を誇っていてもおかしくない。
けれど彼はその強さ故に無理をしすぎる。
昔に一回見たが、仕事量がおかしい。
それが癖になってるとしたら。
そう考えると心配になる。
まぁ、今はゆっくり休むといい。
「そう言えば、あの下手くそな気休め程度の治癒魔法を施したのは誰だ?」
「下手くそ……。エル・スラフさん。ゼオルで言えば、聖女の人」
「あぁ、あの光の子か。なるほど、ルシフが“候補”だと言っていた意味がわかった」
そんな会話をしながら、しばらく飛ぶと、下の景色は森から平原に変わる。
そろそろと思って下に降りる。
空はもう夕焼け色になっていた。
どうしたのかとウラタに問われる。
「夜間飛行は危ないし、腹が減った。それに、ニンゲンの街にいきなり上空でドラゴンが飛んでいたらびっくりするしチクチクするだろう?」
「チクチク……」
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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