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「ウラタ様はおれに構い過ぎではないですか」
「ん? そんなことねぇだろ。友達置いてさっさと帰るわけなくない?」
「友人でもなんでもないでしょう。王太子と家臣。それだけでは? こちらにメリットはあっても、そちらにメリットはないのに」
これで、損得勘定で動いていないというのなら、人が良すぎて誰かに騙されるやつだ。
おれだって、すべて曝け出すほど馬鹿ではないし、そこまで信頼していない。
聞かれたことは応える。
もちろん、嘘をつくなんてやるわけないが。
だが、全て応え切らないだけなら、それほどまでに簡単なことはない。
ウラタ様と行動を共にしていたのは仕事であって、本来ならば、家臣として行かせたくはないくらいだ。
はじめての旅行の上、外交まで初体験なはずだ。
疲れているのにこれ以上働かせるわけにも行かないか。
「ルシフは心配だから早く休めと言っている。
なに、心配せんでもオレが仕事をしすぎないように見張っているぞ。このくらいの距離でな」
そう言ってゼオルは見せびらかすようにくっついてくる。
距離にして、おれとゼオルの肩がぶつかるくらいだ。
「なっ、ズル、ゴホン、流石にくっつきすぎだと思うけど?」
「ふたりとももう帰れよほんとに……」
「ワーウさん、やるならさっさと済ませますよ。ゼオル様も自分の仕事があるでしょう」
ゼオルの言葉に触発されたのか、感情のままに応酬しかけ、一つ咳払いをしてから真っ当なことを言う。
ズルいと言いかけた事に首を突っ込むのは絶対面倒なことになるから無視したけれど。
二人の男、しかも逆らえないようなやつにくっつかれ、動ける人がいるだろうか。
身動きの取れなくなったおれにクレアさんが冷ややかな言葉を被せてくる。
「領地帰って仕事したい……」
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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