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本当に応接間なのかどうかは知らない。
中に入れば、濃い赤色のソファが低いウッドテーブルを挟んで対面するように並んでいる。
奥は窓で、装飾品は一切飾られていない。
「なんつーか、質素だな」
「この城は要塞も兼ねていますから、ふつうそんなところに絵画なんて飾ってないでしょう? それと同じです」
「へぇー。要塞かぁ」
ウラタ様を座らせ、向かい側の椅子に腰掛ける。
ゼオルは多分クレアさんに怒られに行ったと思う。
少しすると、扉がノックされ、失礼しますとの声とともにゼオルが入ってくる。
その後に続いて、クレアさんも来る。
会談という公的な外交の側面があるからか、きちっとした格好に着替えてきたらしく、一国の王に見えなくもない服装になっている。
こちらを見た瞬間満面の笑みになるのは勿体ない気もするが。
「ここじゃあ狭いから、庭に行くぞ」
◇
「へぇー、ずっと要塞っぽかったけど、こんな華やかなところがあるんだ」
「まぁ、オレに花の良し悪しはわからんが、庭師がきれいにしてくれているからな」
ゼオルはそう言いながら、花壇の方へと向かう。
おれもウラタ様も後を追う。
ゼオルは、適当に見繕った一輪の花の前で立ち止まり、しゃがみこんでバラに手を伸ばす。
「ゼオル?? 何やろうとしてんだ? もしかして、引きちぎろうとしてるのか?」
「え? だめなのか?」
驚いたようにこちらを見る。
その表情はまるで子供のようで、思わず毒気が抜かれる。
嫌でも、折角頑張って整えてくれたんだろ?
ちぎってやるなよ。
「いや、整備した人がかわいそうじゃん」
「それもそうか……」
「そんなことより早く話し合いするぞ」
形式だけで、中身はないに等しいのだけれど。
内容は、あの魔族の処分についてと、これからの国家間の外交をどうするか。
処分が生ぬるいものだったら、外交も見直さなければならない。
ゼオルは立ち上がり、花から離れる。
そして、東屋に向かい、一つの席に座った。
ウラタ様はそこと向かい合うようなところに座り、おれはその間に座る。
クレアさんはゼオルの後ろに控えている。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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