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「俺もねぇな」
そんな話をしているうちに王都が見えてくる。
ウラタ様は、予想していたより大きかったのか、すげぇ! なんて子供のような反応をしている。
確かに人族の王都よりは大きい。
二倍くらいの広さはあるが、自治領というものの管理はあっても、おれたちみたいに魔獣に怯えたりしない分、ずっといなくていい。
だから貴族級はみんなここにいる。
門番にギルドの免許を見せて、そのまま中に入る。
ゼオルは顔パスで入り、ウラタ様はゼオルが身元保証人になって入る。
「あんまり変わんねーな、魔族も人族も。肌が黒くて角があるだけっていうか。羽とかねぇの?」
「貴族級にしかないぞ。平民で生えたら一番低い男爵級に引き上げだし、公爵であっても、なければ平民用孤児院に送られるってシステムだな」
「へぇ、大変だな」
「魔王だけは竜族確定参加の魔王決め大会でトップが魔王になる。負けた竜族はそれぞれの自分が守っている土地へと戻っていく。おれが守護しているのは代々ルシフの土地だな。人族領丸ごとじゃなくてな」
ウラタ様に尋ねられ、ゼオルがそれに答える。
人族は血統で決めている節がある。
血という抗えないものを理由とすることで、国民たちはトップに立つ者を神聖視しやすくなる。
短所は上に立つものによって国が揺らぎやすくなってしまうこと。
対して魔族は、戦って王を決める。
実力主義国家のこの国としてはかなりわかりやすいが、脳筋すぎて国を収められない無能が上に立つこととありえる。
「つまり、ゼオルが魔王じゃなくなっても、ルシフのところに行けば会えるってことだよな?」
「そうなりますね。ほら、着きましたよウラタ様。ゼオルも、クレアさんが待ってるだろ」
俺が指し示した先にはお城の風体を保った石造りの建物。
しかし、城と言うには飾りっ気がなさすぎる。
どちらかというと、要塞。
何かあった際には全員城に逃げ込むために作っているのだから、当たり前といえばそうなのだけれど。
ウラタ様は、おー、と呟いて建物を見上げている。
ゼオルは走って城の中に駆け込む。
中ではクレアさんが今か今かと待っているのだろう。
「そろそろ入りましょうか」
「あ、目的地ここか」
◇
中に入ると、メイド長のマミィと執事のダンディがいた。
二人はおれたちを見て軽く頭を下げる。
ゼオルに応接間に通すようにでも言われたのか、こちらですと案内される。
遊びに来たときによく通された部屋だ。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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