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無言で見つめると、降参するように両手をあげておれから離れた。
ようやく自由になったとベッドから降りようとすると、今度は腕を掴まれる。
一体、なんだと言うのか。
おれの腕を掴むウラタ様に呆れながら口を開く。
だが、その言葉はウラタ様によって遮られる。
「さーて怒られる前に朝ごはん食べに行こーっと」
おれの言葉を無視して歩き出すウラタ様。
どうやらおれはこのまま引き摺られて行くようだ。
諦めてウラタ様に引きずられて行くとしようか。
おれはため息をつくと、ウラタ様の後ろを歩いていった。
「んー、たまにはこーゆーのもいいな」
「オレとルシフは昔よくここに出かけてったことがあるけどな」
「何のマウントとってんだよゼオル。口に入れたもん飲み込んでから言え」
ガヤガヤと騒がしい酒場の中、席に着けば、朝ごはんが出される。
目玉焼きと、羊肉の腸詰め、コンソメスープと黒パン。
店の人には、貴族なのに白パンでなくて申し訳ないと謝られたが、常識的にに考えた時に、白パンなんて高価なものは期待していない。
そんなのがあっても、王都から出ることの少ない貴族は
王都引きこもりどもめ。
貴族が嫌いな訳では無い。
貴族が嫌いだったらウラタ様もゼオルも自分自身も嫌いなことになる。
まぁ、今は食事に集中しようか。
一通り腹を満たしたあとに、ゼオルとウラタ様を見れば、まだ半分ほどしか食べられていない。
やっぱりゼオルのほうが食べる量が多いな……。
さすがドラゴンといったところか。
ウラタ様も王宮育ちだし、普通に食べるほうだと思うんだが。
「そーいえばここにはルシフを避けるやついないんだね」
「まぁ、ここでは混じってるのが普通ですし、年に一度魔獣駆除の依頼が家に来て、毎年足を運んでいるので」
「随分と他人事のように言ってるが、魔獣駆除なら冒険者や騎士団で十分だろう? それなのに毎年来るって言うのは多少なりとも気にかけてるってことだろう」
ゼオルめ、適当なことを言う。
おれは依頼がこちらに来るし自分に向いているしで受けていただけだというのに。
確かに、ギルドマスターからの依頼ではあったけれど、特に深い理由はないんだが。
おれは黙々と食事をしているウラタ様を横目に、ゼオルに適当に相槌を打つ。
そうこう話しながら食べている二人の姿を眺めていると、ウラタ様は食べきったようで、ごちそうさまを言う。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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