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涼「『狐火灯篭』」
目を薄く開いて、紅い目を覗かせた涼太が低い声で呟くと、狐火が幾つも浮き上がり、大蛇の濁った眼に向かって飛んでいく。じゅぅっ、と嫌な音がして、大蛇がのけぞった。
亮「よっし！涼太ありがと！…照、佐久間！」
佐「了解！」
鋭く地面を蹴った佐久間が、大蛇の身体に飛び上がる。手を小さく振ってから、にやりと笑って爪を出した。
佐「『化猫の鉤爪』！」
鋭い音と共に、大蛇の背中に傷が走る。堪らず苦しげな呻き声をあげた大蛇の身体に向かって、照が翔び上がった。
照「流石にでけぇな…刀通るか…？っ！」
降り下ろして飛び退いた照の大太刀が、更に切り傷を増やしていく。其れを見ていた辰哉に亮平が耳打ちすると、驚いた顔をしたあと辰哉が頷いて、護符を指の間に挟んで静かに目を閉じた。
辰「我を護りし主神よ、今力を此処に示せ…っ！」
腕を振ると、只の紙だった護符が意思を持ったかのように真っ直ぐ大蛇の身体に向かって飛んでいく。ぴらり、と閃いた紙が張りつくと、途端に苦しげな呻き声が大きくなった。
ほっ、と息をついた辰哉が、次の指示をあおごうと亮平の方を振り向いたとたん、その菫色が見開かれる。
大蛇が鎌首をもたげて、亮平に噛みつこうとしている。大きな口からは日本の牙が見えていて、恨めしげな目玉がぎょろり、と亮平をとらえていた。
辰「っ亮平！危ない！」
叫んで、地面を蹴り出す。振り返った紅が驚いたように見開かれるのが目に入り、力一杯前に押し出した。
良かった、間に合った、と安堵した次の瞬間、脇腹に激しい痛みと熱が走る。
え？という声は音にならない。意識が苅り飛ばされてしまいそうで、はぁ、と荒い息が温かい液体と共に口から零れた。
地面にぐしゃり、と叩き付けられた体は、どくりどくりと早鐘を打っていて。喉までせり上がってきた液体に思わず咳き込むと、次から次に吐き出される血液が草を濡らした。
辰哉！と叫ぶ亮平の声が遠く聞こえて、冷えていく指先と激痛が走る脇腹を他人事のように感じながら、辰哉の菫色は重たげに閉じられた。
亮「辰哉！ねぇ！辰哉！」
辰哉の体を揺する亮平と、駆け寄る佐久間を視界のはしに捉えた照は、目を見開いた後小さく舌打ちをして刀を構え直す。其れを見ていた涼太も低く構えて、目を光らせる。
照「…『雷々鬼神』」
涼「『狐の送り火』」
雷鳴と共に、照の刀が一閃される。降り立った照の後ろには、首を斬り落とされた大蛇が狐の焔に焼かれていた。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
