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天狗と邂逅した森から少し下った先、この山に良く入る者にしか分からないような細い道に、辰哉が足を踏み入れると、高く伸びた笹の葉がかさりかさりと音を立てる。
人一人通るので精一杯なほどの細い道を上背のある青年達(その実殆どは妖なのだが。)が一列に並んで歩いているのは些か滑稽ではある。目の前にぴょこり、と跳ねて出た緑色を鬱陶しそうに除けた翔太が、四つほど前を歩く辰哉になぁ、と声をかけた。
翔「ほんとに此方で合ってんのかよ？草がこんだけ伸びてるし、祠があるにしては『気配』無さすぎだし…」
辰「嗚呼、この辺は人住んでないし、この道は元々獣が使ってただけだから。祠の気配？は分かんないけど、随分古びてたから、俺以外の村の人は立ち入ってないんだと思う。」
蓮「…にしても、ふっかさんよくこんな山奥の祠見つけたね。絶対分かんないじゃん、こんな獣道。」
辰「…昔、小さい頃に爺ちゃんが連れてきてくれてたから。大人になってからはあんまり行ってなかったけど……っあった、あれだ。」
獣道を抜けた先、少し開けた所に、ぽつりと建っている小さな祠。くすんだ赤色の屋根は所々木が剥がれ落ち、壁も長年の風雨で黒ずんでいた。
然し、子供達の姿は見当たらない。
おかしい、と辰哉が一歩進もうとすると、足が何かにぶつかる。何もない筈なのに、と右手を前に伸ばすと、何かが弾ける音と共に指先に電気が走った。
辰「っ痛っ！」
照「…天狗の野郎、結界張ってやがんな。」
亮「しかも蜃気楼と音を消す効果までついた一級品だよ…流石は天狗、これは取り除くのに骨が折れそう…」
翔「…りょーた、出番じゃないの？結界云々は得意分野でしょ。」
涼「んー…只の結界と消音なら取るのは簡単なんだけど、如何せん蜃気楼が厄介かな…」
康「蜃気楼なら俺が消せる、と思う。この範囲のは消したこと無いから、上手くいくかは解らへんけど。」
康二が風を孕んで揺れた黒と橙色の着流しを腕までたくしあげるのを見て、涼太も少し前に出る。
涼「…『妖変化･妖狐』」
康「『妖変化･雪女』！」
紅色の花弁と雪が舞い上がって、視界を遮る。一瞬目を合わせた二人は、手を伸ばして結界の辺りに触れると、口角を上げた。
涼「うん、思ってたよりは楽そうだね。」
康「だても？…俺も久々に、やから心配やったけど、大丈夫そうやわ。」
せーの、と少し子供じみた掛け声と共に、二人が力を込める。
パリン！と何かが割れる音がして、静かな山中に木霊した。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
