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弾けるようにまた世界が光りだす。ゆっくり目を開けると、其処は先程まで九人が登っていた山中だった。
目の前には天狗が倒れている。斜面に広がる草の合間を縫ってどす黒い赤が流れ出すのを見て、辰哉は思わず呟く。
辰「…死ん…だ…？」
照「死んじゃいねェよ。ちっとばかし回復に時間は掛かるだろうけど、天狗ほどの力を持ってる妖を倒すのは流石に俺達でも難しいからな。」
いつの間にか変化を解いていた照が隣に立って答える。辰哉が思わず小さな溜め息を溢すと、小さな掌がするりと抜け出し、天狗の方へ歩きだしていた。
辰「っラウ！そっちは危ないから戻ってきて！」
照「…待ってふっか、ラウールの妖気がおかしい。」
亮「…この期に及んで子供集め？」
佐「でも、目は紅くない。…妖気の『匂い』は変だけど。」
翔「…涼太」
涼「…分かってる、助けに行ける準備はしておくよ。」
蓮「何してんだ？ラウール…」
康「分からん…敵意は無さそうやけど。」
小さな草履が草の上を歩いて、天狗の前でひた、と立ち止まる。小さな口が、言葉を紡いだ。
ラウ「…天狗のおじさん、ほんとはなにがしたかったの…？」
溢された其の言葉に、全員が小さく目を見開く。其れすら目に入らないかのように、ラウールはまた呟いた。
ラウ「ちっちゃい子をつれてって、ごはんもあげて、いっしょにあそんであげるのは、わるいことじゃないんでしょ…？だったら、なにがしたかったの…？」
ラウールがそう言った途端、足元で天狗が小さく乾いた笑いを溢した。そして、其の不思議色の目だけをぎょろり、とラウールに向ける。
天狗「かっかっか…流石は良家の式神童子、と言ったところか。儂の脳内を覗くとはな。……どうやら無意識か。これは質の悪い…だが、問いには答えなければ為るまいな。…簡単なことじゃ。儂の跡継ぎを捜しておっただけのことよ…望み通り、童共は返してやるとするさ…年寄りは年貢を納めて『彼方』へ帰ろうぞ…」
そう言って、天狗は皺だらけの手をゆらり、とラウールに差し出す。一斉に臨戦態勢を取った妖達を他所に、ラウールはあどけない笑みを浮かべながら小さな手を其所に添えた。
天狗「…然し、妙な者共に会うたものよ…純血も居るが、獣も居る…挙げ句の果てには人間…否、お主も『此方の道』に触れた人間か…もう後には戻れ…ぬ…」
天狗の巨体が言葉ごと掻き消える。茫然とみていた辰哉の心には、天狗の最後の言葉と無力感が鎖のように絡み付いていた。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
