ペットじゃなくて（ひまわりイエロー） (ページ11)

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髙橋side

『ごめんね、ちょこっとだけ待ってもらえる？』

部屋のドアの前、インターホン越しにそう聞こえた。

しばらくして、ほんの少しドアの隙間が開いて、

そこから綺麗な顔が覗いた。

こないだよりも、メイク薄くて

でもほんのりほっぺはピンクのチーク、

薄ピンクの口紅、マスカラ。

それだけで充分。まじまじと見つめてしまった。

「…待たせてごめんね」

髙「あ…いきなりごめんなさい。これ…」

持ってきたお菓子の袋を渡そうとすると、

さらに玄関が開いて、部屋着姿が見えた。

髙「ぇ…かわいい。」

「えっ！？」

髙「あははっ！」

「しっ！」

廊下に声が響いて2人で人差し指を唇に立てて、

Aさんは慌てて俺の腕を掴んで引っ張って、中に入れてくれて玄関を閉めた。

掴まれた腕が、ドキドキ脈打ってるような感覚になった。

髙「あ…ごめんなさい、おっきい声出しちゃった…ものすごくびっくりしてるから笑っちゃいました」

「いや、そうじゃなくて、あなた…

そんな感じだからマスコミに撮られちゃうんじゃないの？」

髙「……」

「あ、ごめん、そんなつもりじゃなくて…。バレないようにね？アイドルなんでしょ？」

髙「つい…その…大人っぽいけど部屋着姿が…あとメイクが薄くても可愛くて…綺麗で…」

「…ちょっと、やめてよ。」

言葉は強いけど、赤くなって、下唇を軽く噛んでるのがもっと可愛くて。

髙「Aさんっ。はい、これ」

「…あ…わざわざいいのに。ありがとうね」

お菓子を渡すときに、手が触れる。

指先がジンジンする。

髙「まだ痛いですか？」

「うん、薬が切れるとね。」

髙「そっか。なんか困ってることありますか？

僕にできることがあれば…」

「うーん。今のところは…大丈夫。」

髙「そうですか。いつでも連絡ください！

出られないことも多いけど。ちゃんと折り返します！」

「ありがとう。」

ふんわり笑うその感じが、いつまでも守ってあげたくなるようなそんな儚さを持ってるんだ。