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私が目を覚ましたのはスマホから流れる電話の着信音が聞こえたからだった。
「ん…誰」
珍しく私に足を絡めていない辰哉を押し退けてベッドから出てスマを持ちベランダへと移動する。
辰哉を起こしちゃいけないしね。
スマホの画面に表示されるのは“非通知”の文字。
怪しいなとは思いながらも電話に出てみる。
「はい」
『あ、やっと出た。こんにちは。目黒です』
「…目黒…？」
『昨日の病院まで送ったヤツですよ〜』
「あ〜あの目黒くんね。昨日はありがとう。それであなたはなぜ私の番号を知っているの？」
『岩本くんに相談したら岩本くんの彼女さんが教えてくれたっす』
勝手に個人情報が漏洩されてたのでりこは後日とっちめることにします。
「それでなんで電話なんかしてきたの？」
『昨日も今日もAさん連絡くれなかったんで』
「え、だって連絡先知らないもの」
『紙渡したじゃないっすか』
「…あ、やっば」
そういえば紙のことを忘れてた。
たぶんズボンのポケットに入れてそれで…
「…待って、私洗濯で回したかもしれない」
『え』
「ごめん、また連絡する！」
『いや、だから番号s』
なんかまだ言いたそうだったけど一方的に電話を切って洗濯機のところへ走る。
洗濯と乾燥は私たちが寝ている間に終わっていて洗濯物を取り出すとまあ見事に紙クズまみれのちゃんと乾燥された洗濯物が出来上がっていた。
わあすっごい仕事早い。職場の私より全然優秀。洗濯機万歳。
なんて1人で苦笑しながら一つずつコロコロで綺麗にしていく。
「Aちゃん〜何してんの〜」
「あ、辰哉。ごめん。起こしちゃった？」
「うわ何その服。やっばいね」
「紙入れたまま洗濯しちゃって」
「まあ疲れてたし仕方ないよ。俺も手伝う」
目をこすりながら起きてきた辰哉は髪の毛ボサボサのまま私の横で紙クズを取ってくれた。
「ほんとにごめんね…ああぼーっとしすぎだな最近」
「大丈夫大丈夫。そんなとこもかぁいいよ」
そんなことを言いながら私の頭を撫でる辰哉は優しく私を見下ろしていた。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
