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家にたどり着いていつも通りソファーで2人、お酒を飲んだ。
ポテチを開けてそれを口に入れてはお酒で流し込んで。
時計を見るともう16:00。
もしかするとあと1時間後には帰ってしまうかもしれない。そんな時間。
気にしないようにしようとは思っていてもチラチラと時計を見てしまう。
「ね、時間気になる？」
「うん、そうだね」
「俺何時くらいに帰ると思う？」
「正直最初に私のとこに来たのが朝の5時過ぎとかだったから帰りは夕方の5時過ぎとかかなって思ってる」
「俺もそう思う。なんかそろそろかなぁって感じするもん」
俺光りながら消えんのかなぁとか笑って言ってるけど私は笑えなかった。
辰哉にそろそろかな、なんて言われてしまったら現実味が増してしまって。
泣きそうになったのでお酒を一気に流し込んだ。
「Aちゃん」
「なに？」
「Aちゃん」
「うん」
「…Aちゃん」
「なぁに？」
「…Aちゃんの名前、今のうちにいっぱい呼んどこうと思って」
「そっか」
何度も何度もAちゃん、Aちゃん、と名前を呼ばれて少し頬が熱くなってきた。
辰哉は目を見ながら、真剣な顔で何度も呼んでくるのだ。
見つめられているのもあってなんだか恥ずかしくなってしまった。
「辰哉…もうやめて…恥ずかしい」
「なんでよ。今のうちにAちゃんの顔いっぱい見ときたいもん」
「え〜」
「忘れたく無いもん」
そう悲しそうに言った辰哉を、どうしても私は記憶だけで終わらせたくなくて。
「辰哉。写真撮ろうよ。2人で」
無理矢理私のスマホでツーショットを撮った。
辰哉はびっくりした顔をして写っていた。
「え〜辰哉この顔何〜？ふふっ」
「もう一回！リベンジリベンジ！」
何枚も笑顔で写真を撮って、私の思い出がスマホにどんどん増えていく。
記憶だけの思い出じゃなくて辰哉はここにいたんだ、っていいう既成事実として私のスマホに保存されていく。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
