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カラオケについて1時間だけで受付を済まし部屋に入る。
とりあえずご飯だ、と2人で注文用のタブレットを覗き込む。
「ポテトとかでいいんじゃない？」
「Aちゃんそれで足りる？」
「まあ足りないよね」
「じゃあなんかラーメンとか頼んで一緒に食べる？」
「うん！」
ポテトだけでお腹いっぱい♡なんて少食アピールして可愛こぶってる自分が一瞬だけ頭をよぎったけど普通にドン引きだし、生憎ポテチ一袋では足りないくらいにはよく食べるので少食アピールは諦めた。
まあ食べても太らないように管理すればいいだけの話だし。
…ここ最近2キロ太ったのは誤差ということにしておこうか。
頼んだものが来るのを待つ間、辰哉は、じゃあ昨日のリベンジで歌っちゃいましょうか！なんて張り切ってデンモクをいじり、曲を選んだ。
最近テレビでよく見かける男性アイドルのバラードの曲。
一発目からバラードぶち込んでくるあたりがさすが深澤辰哉、と言ったところだろうか。
流行りに疎い私はあまりそういった最近の系統の曲は詳しくないけど。
あちらでもこっちの曲が聴かれたり歌われてたりするのだろうか、なんて考えた。
辰哉は漫画の通り歌がうまかった。
安定していて癖がない歌声。さらに発する一音一音が優しくて。
終わった後にえ、これで終わりなの？まだ聴きたい。そう思わせる歌声だった。
歌い終わってあ〜ちょっと音外しちゃった〜なんて言ってる辰哉に無意識のうちに拍手を送っていた。
「辰哉すごい！めっちゃうまい！」
「え、何々、照れちゃうじゃん」
「本当に、すごい上手だった…単独ライブ開いて欲しいくらい！」
「ふは！俺Aちゃん専属でアイドルなっちゃう？」
冗談を言いながらもどこか悲しそうな目には気づかないふりをする。
気づいてないふりだって、きっと大切なことでしょ？
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
