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それからしばらくバスに揺られて海が見えてくると緊張感なんてどこへやら。
人が私たちしか乗ってないのをいいことに2人して大はしゃぎしてしまった。
運転手さんにお礼を言って2人で下車して。
海には入らないけど近くまで行ってみることにした。
あの時はお互い砂浜の、しかも端っこの方にいたから海なんて見れてないし。
「Aちゃん見て〜！ワカメ！ワカメ流れてきてる！」
「ほんとだ！持って帰る？」
「え〜袋とかないからやめとこう」
「え、袋あったら持って帰るつもりだったの…？」
子供みたいに2人ではしゃいで、結局靴脱いで足だけ水につけて冷たいね〜って笑い合った。
次は泳ぎにこようね。
そう言おうと口を開いたけど、もうダメなことを思い出して口を閉じた。
「Aちゃん」
「なぁに？」
「俺ね、海でプロポーズとかはあんまり好みじゃないんだけどさ、どう思う？」
「急だね」
「最初から急だったでしょ？俺は」
「そうだったね」
最初、相手の名前認識していない状態での『結婚してください』あれにはびっくりした。
今となってはいい思い出よね。
「私は好きな人がプロポーズしてくれるなら何でもいいや」
「そうなの？」
「うん。だって好きな人からならなんだって嬉しいじゃん」
「そっかぁ」
辰哉はズボンのポケットに手を突っ込んで小さな箱を取り出した。
「なぁにそれ」
「ん？何だと思う？」
「ピアス？」
「あ〜それもありだったけど残念でした」
いたずらっぽく笑うとじゃんっ！と箱を開けて見せてくれた。
そこにあったのは小さな雪の結晶にこれまた小さな紫色の宝石みたいなのがついている綺麗なネックレス。
「え〜すごいかわいい！どうしたの？これ」
「指輪はね、俺働いてないし、高かったから買えませんでした。だから一旦ネックレス」
「え、めっちゃ嬉しい！ありがとう！つけてつけて！」
自分で髪の毛を持って首を露出させると辰哉はネックレスをつけてくれた。
「思ったとおりめっちゃ似合うね」
「本当に嬉しい。ありがとう。大切にするね」
「あんま高いのじゃなくてごめんな」
「値段とかどうでもいいよ！辰哉がくれたってことに価値があるの」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん」
じゃあさ、と辰哉は私の両手を握る。
「絶対来るっていう保証はしてあげられないけど、もし俺がまたこっちに来た時。
その時は、俺と結婚してくれますか？」
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
