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「まじで楽しかったね！俺たぶん明日は腕あがんねえわ」
「…明日はきっと大丈夫だよ。2日後に来るだろうから」
「おい誰が年寄りだ」
ボーリングを終えて2人で少しだけ歩く。
シャトルバスは1時間毎に出ているのは知っているのでまた数時間後に戻ってくればいいと思い、周辺のお店に行くことにしたのだ。
「どこ行きたい？」
「ゲーセン」
「残念ここの周辺にはありません」
「え〜じゃあカラオケ…とか？」
そういえばこの人は漫画の中では歌が上手い設定だった。
ヒロインの子も目をキラキラさせて聴いていたっけ。私もそれは聴いてみたい。
2時間コースで受付を済ませて部屋に入る。
電気をつけようとしたら俺部屋が暗い方が好きなんだ、と止められてそのままソファーに座る。
そういえばそうだったなと漫画を思い出し、私も机を挟んでソファーに座る。
早速辰哉がデンモクをいじり始めた。
「何歌うの？」
「ん〜あんま決まってないんだよね〜。逆に歌って欲しいのとかある？」
「ん〜辰哉が得意なやつ？」
「…国家？」
「それウケ狙いじゃない？」
ばれたか〜どうしようかな〜と悩んでいる辰哉にドリンクを取りに行くことを告げて部屋を出た。
辰哉は何飲むかな。烏龍茶でいいか。
そう自己判断して私のメロンソーダと一緒に両手に持って部屋に戻る。
でもそこのカラオケはドアは手前に引く式のドアだったので両手が塞がっている私には開けれない。
少し格闘してみたがどうやっても開けれそうにないのでドアを少しだけノックしてみた。
「ごめんごめん。まじで気づかなかった」
「大丈夫。開けてくれてありがとう」
「こちらこそドリンクありがとう」
辰哉の前に烏龍茶を置いて私もメロンソーダを一口飲む。
シュワシュワと喉を通り過ぎていくそれは、甘くて冷たくて美味しかった。
大人になった今でも烏龍茶含めほとんどのお茶が飲めない私にはカラオケではこういったジュースが欠かせない。
「それメロンソーダ？」
「そうだよ。一口飲む？」
「じゃあもらおうかな」
そう言って辰哉は私の隣に座った。
急に近くなったその距離に少し恥ずかしくなって彼に背を向ける。
「なんでこっち来るの」
「なんでそっち向くの」
「…質問に質問で返すなバカっ」
「ねえAちゃん。一口ちょうだいよ」
「飲めばいいじゃない」
「そうじゃなくて」
辰哉にくるっと向きを変えられて彼と向かい合う。
彼の綺麗な瞳に見つめられて私は動けなくなった。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
