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家に帰って2人で麻婆豆腐を作って。
2人でお酒を飲んで。
酔った辰哉が机に突っ伏して寝てそれをなんとかベッドまで移動させて一緒に横になって。
些細な日常がすごく幸せに感じた。
今までだって何度もこの日々を過ごしたのに今更になってこの日常が当たり前じゃないことに気づいた。
今日寝てしまったらあと4日しか残されていないのに。
気づくのが遅すぎた。
全てが当たり前じゃなくて幸せだってことにも、辰哉が好きでずっと一緒にいたいって気持ちも。
このまま、時が止まって2人でいれたらいいのに。
そうは思うけど時間は止まってくれない。
気がつくと翌朝。
残された時間はあと4日。
「いなくならないで…」
まだ寝ている辰哉にそう話かけてみるけどすーすーと寝息を立てながら綺麗な寝顔を見せるだけ。
そっと手を伸ばして辰哉のスベスベしてる頬を撫でる。
それから少しずらしてピアスの穴が少し塞がりつつある耳を触る。
それからふわふわしたねぐせだらけの髪の毛。
ちょっ広めのおでこ。綺麗な鼻筋。それから唇。
順々に触ってみて。どのパーツを見ても、触ってみても、全部好きだなと思った。
私にさりげなく腕枕してる割と筋肉質なこの腕も。
私の髪の毛によく触れてくれるほっそりとして綺麗な指先も。
私の名前を呼ぶあの大好きな声を出すたびに揺れる喉仏も。
意外と分厚い胸板も。
思ったよりは硬いけどそこそこぷにぷにしてるお腹も。
私を捕まえて離さないとでも言いたげな長くて細いのにしっかり筋肉がついている脚も。
「全部大好きだよ」
なんて1人で呟いてみる。
「そういうのはさ、起きてる時に言って欲しいんだけど」
「あれ、いつから起きて、」
「いなくならないでって言ってたくらいから」
「めっちゃ序盤じゃん…」
「それで、どこがどんなふうに好きだって？教えて欲しいんだけど？」
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
