▽我ら、有閑倶楽部。2 HSJ▽ (ページ44)

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その写真のおばあさんを調べてみると、
旧富水邸の持ち主富水(ふすい)文(ふみ)だったとわかった。

孫娘が東京から来た学生と好きあい、後に結婚、孫は信州を離れて東京に住むことになった。

身よりもないので、文さんも後から東京に住むことになり、
現在大貴の家の別荘である旧富水邸を売った。

しかし、いざ東京へ行こうというときに孫夫婦が交通事故で亡くなり、文さんはたいそう悲しんだ。

そして、とうとう別荘裏の湖に身を投げて死んでしまった…ということだった。

消防団が捜索したが、未だに死体は出ていないという。

雄也「昨日あの湖で泳いだから、水浸しになったのかな…」

光「死体を探してほしいってことか…」

大貴「でもさ、孫の所に行けたわけじゃん？そんなに未練もつかなぁ…」

宏太「…よし、実際に聞いてみるか」

「「え、どうやって？」」

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別荘の窓とカーテンを閉めて、町で探してきた懐かしのラジカセを囲み、みんなで手を繋ぐ。

宏太「目を閉じて、気持ちを集中させるんだ」

宏太が言うには、こうしてカセットテープを録音すると、霊の声が入るというのだ。

宏太「いいか、雑念を捨てて…お前、雑念が多そうだな」

慧「なんだよ、富水文さん出てきてくださいって思えばいいんだろ！」

半信半疑ではあったが、みな目を閉じて気持ちを集中させた。

宏太「富水文さん、そこにいますね？教えてください、何を知らせたいのですか？」

宏太の問いかけに、他のメンバーは耳を澄ませ、心の中で同じように唱えた。

宏太「富水文さん、何を知らせたいのですか？…」

こうして３０分行われた霊の声の録音。

カセットテープを聞いてみると、録音している時は聞こえなかった苦しげな声が入っていた。

涼介「うわ、マジで入ってんじゃん！怖っ！」

貴方「悔しい、の後、えめ…何て言ってるのかしら？聞こえないわ」

結局「えめ…」は、音量を上げても聞き取る事は出来なかった。

宏太「さっき話聞かせてくれたおばさんに電話してみる。色々詳しく聞いてみるよ」

早速電話をしに行く宏太や、幽霊の声を聞いたのに平気そうなメンバーを見て、涼介は「ありえない…」と顔を引きつらせる。

涼介「もーいいや、飯でも作って忘れよ」

そう言ってキッチンへ行きシンクの蛇口をひねると、空回りするだけで水が出なかった。