ー 第三特異点 5 ー ページ6
ーー
どなたか、この海がどこで、
どういう状況にあるのか、
説明出来る方はいらっしゃいますか?
ーー
リーダー格の海賊は首を振った。
「それが、オレたちにもさっぱりでよぉ。
気付いたらこの辺りに漂流してたんでさぁ。
羅針盤も地図も、
まるっきり役に立たないし・・・
もう、何がなんだかわからなくなったら、
生きる為には目の前の獲物を狙うしかないだろ?
生物の習性として」
確かに最もらしいが、
それで人間を狙いにいくというのもよくわからない。
仮に身包みを剥いだとして、
どうするつもりだったのだろうか。
「では、他にアテはないのですか?」
立香が申し訳なさそうに問い返す。
いやいや、と男性は首を振った。
「この近くに海賊島があるって聞いたもんで。
食料も、水も乏しくなってきてたんで、
とりあえずは、そこをあたろうかと」
「なるほど・・海賊島ですか・・」
ロマ二の判断を待つ。
『ふむ・・まぁ、他に手掛かりもないし、
そこへ進むしかないかな』
察したロマ二が回答と許可を寄越した。
「了解です。
さて、では、みなさん。
こちらの、
勝者としての権利を行使させて頂きます。
舵をとってください。その海賊島へ進路を」
海賊たちが声を張る。
「アイ、アイ、サー!」
「イエス! サー!」
船は秋とアルジュナを船首に立たせ、
海賊島への航路へと進み出た。
船が海賊島へと着岸する。
秋らは一番にその砂浜へと降りたった。
そこまではよかったが、砂浜へ降りた直後、
先に島へ上陸していた海賊たちが一斉に襲い来た。
「陸上でも海賊は元気なようだね」
「そのようです」
「悪気があった訳じゃないんですよ・・
やっぱりひもじいと、
目の前の獲物を襲うしかないじゃないですか。
生物の習性として」
(・・・・)
覚えのある言葉を共に、
蹴散らした海賊たちを眺めおろしながら、
秋とアルジュナはマシュたちを待った。
「・・まぁ いいでしょう。
さて、それより、みなさん。
この島に状況を把握している方はいますか?」
「あぁ、それなら、
姐御(あねご)じゃないかと」
姐御とは?問い返す。
「へへっ、聞いておどろけ。
我らが栄光の大海賊、
フランシス・ドレイク様さ!」
得意げな海賊の態度はこの際無視だ。
彼の案内に従い、
姐御なる者のもとへ、向かうこととなった。
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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時