ー 第三特異点 21 ー ページ22
エウリュアレが虚をつかれた表情を見せる。
「恐らく我々の船長も同じことを提案するでしょう。
そうでなくともうまく言い包め・・
説得しますので問題ありません」
「あんたやっぱりいい性格してるわ」
エウリュアレは少し思案する。
「あんたたちが構わないって言うなら」
「ありがとうございます」
エウリュアレの答えに秋は微笑んだ。
「・・あんた、とても変わってるわ。
それに、よく笑うのね」
「ふふ、ええ、
そう言われることも間々あります」
嫌いじゃないわよ、と、微笑んで、
納得してくれたらしいエウリュアレは、
アステリオスの肩へと昇る。
そんな二人をひきつれ、秋とアルジュナは、
そのダンジョンを後にした。
*
ーーその船は優雅に、優美に、悠然と、
海上をひた走っていた。
同乗するサーヴァントに何を言われていようとも、
その男には微塵と影響していないように見受けられる。
かといって彼女たちは別に、
彼を炙るつもりも、
煮込むつもりも、
焼きつくすつもりもない。
そのようなことを成したとて、
この男は微動だにせぬだろう。
「さ、船長。
そろそろ指示を出さないと、
風船より軽いそのおつむ(頭)を
抉りとり吹き飛ばしますわよ?」
故にこそ、
こうした形で、攻めたてる程度である。
男は、辛辣では済まないその物言いに、
しかしニヤけた笑顔ひとつ崩さずに言葉を返す。
「おっと、こいつはしたりw 失敬、失敬。
それでは、
真面目にやらせて頂きますですわww 」
回答の言葉さえまともに発音しない男の
「真面目」さはいささか疑問が残るが、
「と、いうわけで、
わが同胞(はらから)たちよ。
ペロマニア至宝の女神(ミューズ)、
エウリュアレ氏を、頂きに参りましょう!」
更に幾分か真面目な発音で、
「あ、ついでにBBAのアレもね!」
付け足すようにそう言った。
「さて、そろそろ出てくるかな?
フヒッヒィ!」
彼らが、そんな会話を交わしているなかで。
空気が、微弱な振動を見せていた。
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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時