ー 第三特異点 19 ー ページ20
穴の中はまるで地下迷宮ーーダンジョンだ。
(入口からの道順は記録しておいたほうがいいな)
データ用のメモを引っ張りだした。
「アルジュナ」
アルジュナへ腕を伸ばす。
意図を理解した彼は差し出されたその手を握った。
「はぐれることはないだろうけどね」
「勿論です、マスター。
このアルジュナ、たとえ地獄の果てであれ、
どこまでも貴方の側に」
「 ・・・ーー 、 」
当然のように返ってきた答えに瞬く。
ーーそんな彼の言葉に、秋は笑う。
「ありがとう。アルジュナ」
交わされた約束を噛みしめるように、
互いに重ねられた手を強く、握り締めた。
*
ーー・
いくらか進んだ後、足下に血痕を見つけた。
「・・・これは、」
「量からすると大した怪我ではなさそうですね。
マスター、これはもしや、」
「・・うん。多分、ね。追跡してみようか」
ーーその血痕が途切れた時だ。
腐敗臭を纏い、これまた敵対者は現れた。
「やれやれ、だ」
早々にカタをつけよう。
*
ーー彷徨っているわけではない。
しかし、戦場特有と言うべきなのか、
妙な、いやな予感がする。
「マスター」
アルジュナが足を止めた。
同時に秋の足も止まる。
「ーー来たようだね。本命が」
正面に控えた角から、それはぬらりと現れた。
「この、あすてりおす が、
みなごろしにする・・・!」
ーー巨躯のサーヴァントだ。
「アステリオス・・
神話上、ミノタウルスと語られる怪物ですね。
クラスは血斧王同様、バーサーカーです。
ではマスター、討伐します。指示を」
「あぁ、任された!」
*
勝敗はついた。そのはずだが、
アステリオスはその足を折らない。
「・・・・?」
その様子に秋は違和感を覚えた。
「ま、も、るーー!」
「・・・もしかして、君、」
秋がアステリオスに声をかけた時。
「マスター、こちらへ」
背後からアルジュナに腕を引かれた。
「そこまでにしてちょうだい」
ダンジョンに響く、甲高い、女性特有の声。
「わかった。わかったわよ。
私がついていけばいいのでしょう!」
「・・サーヴァント・・?」
眉を寄せて現れた彼女を見た。
ーー見覚えある容姿だ。
「失礼、少しいいかな」
「何よ! ーーえ、あんた、人間?」
戸惑う彼女に続けて問いかけた。
「・・・貴女、もしかして、女神様では?」
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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時