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ー 第三特異点 19 ー ページ20

穴の中はまるで地下迷宮ーーダンジョンだ。

(入口からの道順は記録しておいたほうがいいな)

データ用のメモを引っ張りだした。

「アルジュナ」

アルジュナへ腕を伸ばす。
意図を理解した彼は差し出されたその手を握った。

「はぐれることはないだろうけどね」
「勿論です、マスター。
このアルジュナ、たとえ地獄の果てであれ、
どこまでも貴方の側に」
「 ・・・ーー 、 」

当然のように返ってきた答えに瞬く。
ーーそんな彼の言葉に、秋は笑う。

「ありがとう。アルジュナ」

交わされた約束を噛みしめるように、
互いに重ねられた手を強く、握り締めた。




ーー・

いくらか進んだ後、足下に血痕を見つけた。

「・・・これは、」
「量からすると大した怪我ではなさそうですね。
マスター、これはもしや、」
「・・うん。多分、ね。追跡してみようか」

ーーその血痕が途切れた時だ。
腐敗臭を纏い、これまた敵対者は現れた。

「やれやれ、だ」

早々にカタをつけよう。






ーー彷徨っているわけではない。

しかし、戦場特有と言うべきなのか、
妙な、いやな予感がする。

「マスター」

アルジュナが足を止めた。
同時に秋の足も止まる。

「ーー来たようだね。本命が」

正面に控えた角から、それはぬらりと現れた。

「この、あすてりおす が、
みなごろしにする・・・!」


ーー巨躯のサーヴァントだ。


「アステリオス・・
神話上、ミノタウルスと語られる怪物ですね。
クラスは血斧王同様、バーサーカーです。
ではマスター、討伐します。指示を」
「あぁ、任された!」





勝敗はついた。そのはずだが、
アステリオスはその足を折らない。

「・・・・?」

その様子に秋は違和感を覚えた。

「ま、も、るーー!」
「・・・もしかして、君、」

秋がアステリオスに声をかけた時。

「マスター、こちらへ」

背後からアルジュナに腕を引かれた。

「そこまでにしてちょうだい」

ダンジョンに響く、甲高い、女性特有の声。

「わかった。わかったわよ。
私がついていけばいいのでしょう!」
「・・サーヴァント・・?」

眉を寄せて現れた彼女を見た。
ーー見覚えある容姿だ。

「失礼、少しいいかな」
「何よ! ーーえ、あんた、人間?」


戸惑う彼女に続けて問いかけた。


「・・・貴女、もしかして、女神様では?」

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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時

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