漆黒の禍狗はパパになったようです

おたんじょうび 2 ページ26

治春は最近ひらがなを書けるようになり、絵日記もつけ始めたのだ。文字を書くのが楽しくて仕方ないのだろう。

「良いよ。はい、どうぞ」

「ありがと、まま！」

私からチョコペンを手渡されると、娘は一生懸命にチョコに何やら書き始めた。

其の様子を微笑ましく見つめている内に、治春はメッセージを書き終わったらしく、「みてみて！」と云いながら此方に向かいにぱぁっと笑う。

「まま、ちー、じょーず？」

「うん、上手に書けたね。それじゃ、ケーキに飾ろうか。もうすぐパパも帰って来るからね」

「かざるー！」

最後の仕上げに、治春がチョコをケーキに乗せた所で、玄関の呼び鈴が鳴った。

がちゃり、と鍵を開けて入ってきた龍之介に私の治春の二人で抱き付き、

「「誕生日、おめでとう！」」

と云うと彼は一瞬、目を丸くしていたがすぐにふっ、と目許を緩ませ

「…嗚呼、ありがとう」

と返すと、私と娘の頬にキスをしてくれた。

「ぱぱ、ちーね、ままとけーきつくったの！」

「…治春とママで作ったのか」

「うん！あとね、ちー、ちょこにかきかきしたんだよ！」

「…かきかき？」

首を捻る夫の手を引きながらテーブルに連れていき、ケーキを見せる。

「…ッ!」

龍之介は暫く、其のケーキを見て大きく目を見開いていたが、私たちを抱き締め

「…有り難う、A、治春…ッ」

と云った。

「うん。此方こそ、生まれて来てくれて有り難う、龍」

私がそう云うと、治春も

「ぱぱ、ちーも、ありがと!」

と云い、龍之介の頭をぽんぽんと撫でた。

其の後、皆で料理やケーキを食べた後、治春と二人で選んだプレゼントを渡すと、また龍に感激の余り抱きつかれた。

そして治春ちゃんが眠った後、龍に

「ケーキも中々美味だったが、Aも喰いたい」

と云われてベッドに押し倒され、私も夜明け迄喰い尽くされた。

そして其の数ヶ月後に、治春に新しく弟か妹が出来たと分かったのはまた、別のお話。
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やつがれちゃん、誕生日おめでとう！
娘ちゃんがチョコに何て書いたかは、皆さんの想像にお任せします。
更新遅れてすみません…!
関係ない話になりますが、私は個人的に夢主とやつがれのイメソンはみゆはんの『足跡』だと思ってます。良い曲なので是非聞いてみて下さい。
リクエスト、感想などお待ちしてます。(作者のモチベが上がります)

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