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26. ページ26

グチュ…と嫌な水音がサクラの耳に入った。鋭利な刀が柔らかい皮膚を突き破る音だ。音ははっきり聞こえたのに、自分は全く痛みを感じていない。

恐る恐る目を開けると、目に飛び込んできたのは背中に描かれた大きなうちはの家紋。紺の衣を身に纏った、うちはオビトが目の前に立っていた。
「遅くなってすまん」
オビトはサクラに背を向けたまま、片手でナズマが振り下ろした刀を受け止めていた。
「オビト…さん……」
皮膚を引き裂かれ、オビトの血が手首を伝っていく。灰色の石畳が鮮血で赤く染まっていった。
「……貴様」
ナズマはきつく睨みを利かせた。
「サクラ、すぐに終わらせるから待ってろ」
「……はい」
サクラは頷き、2人の戦いの行く末をじっと見守る。

「舐めやがって…」
ナズマは自分の親指の腹の皮膚を噛み切り、刀の腹に沿わせた。そしてそのまま己の血をつけた刀を振り下ろした。
「口寄せの術!」
その途端、白煙が立ち上り二人の目の前が真っ白になった。そしてその白煙の中から現れたのは体高6、7メートルの醜く、異様な生き物だった。
「なんなの、アレ……」
姿顔は猿、胴は狸、脚は虎、尾が蛇の化け物が今にもオビト達に襲いかからんとしている。
「俺が作り上げた組織《[[rb:鵺> ヌエ]]》…。なぜその呼び名で通っているのか貴様らに教えてやる」
ナズマは横にいる化け物に触れた。
「コイツは古代から雷の国の民から恐れられた雷獣、鵺だ。それを黒雲家が唯一口寄せできるからだ」
優位に立ち、ナズマは余裕の笑みを浮かべた。
「もうお前らは終わりだ。____鵺よ、行け」
鋭い牙を剥き出し、鵺は二人に飛びかかってきた。
「オビトさん…っ!」
「大丈夫だ」
オビトは笑った。

目の前まで迫った鋭い爪がピタリと止まった。
「何!?」
ナズマは目を見開いた。
「終わるのはお前だよ」
オビトがそう言うと突如、鵺は向きを変えてナズマに襲いかかった。
「ウッ…」
大きな爪がナズマの腹に突き刺さり、その勢いでナズマの身体は吹っ飛ばされた。

____写輪眼で鵺を……!!

かつて、九尾を操り里を襲わせたこの人が鵺を操れないはずがない……。
目の前の男の強さを再確認し、サクラは生唾をゴクリと飲み込んだ。

「ぐッ……」
深手を負ったナズマは立ち膝で腹の傷を押さえていた。
「お前の負けだ」
オビトの写輪眼の力で意識を飛ばされたナズマはそのまま膝を折って地面に倒れ、それっきり動かなくなった。

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設定タグ:NARUTO , うちはオビト , 春野サクラ   
作品ジャンル:アニメ
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時

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