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「……遅いな」
サクラと二手に別れてから、もう随分と時間が経っている。
2時間後に待ち合わせようとサクラと約束したオビトであったが、彼女が来る様子は一向に無い。木陰に腰を下ろしていたオビトは立ち上がり、よく目立つ薄紅色の髪を探した。
*.。*.。*.。
_____何かあったな。
戦いの痕跡がある場所には誰も居なかった。敵も、そしてサクラも。
「……捕まってると考えるのが妥当か」
情報を聞くためにそう直ぐには殺しはしないだろう。だがのんびりするワケにはいかない。
すぐさま道を進もうとしようとした瞬間、奥の茂みから人の気配が感じられ、足を止めた。
「誰だ」
敵か?それともサクラか……?
しかしオビトの予想は外れ、そこから恐る恐る顔を覗かせるのはロープで縛られた、小さな少女であった。
おそらく人身売買を目的として拉致された子供なのだろう。
「出てこい。俺は鵺の奴らの仲間じゃない」
それを聞いて安心したのか、素直に少女は姿を現した。オビトはクナイを取り出しロープを切った。
「一つ聞きたいことがある」
彼はその場で立ち膝をつき、少女の目線に合わせた。
「薄紅色の髪をした女がここへ来なかったか」
そう聞くと少女の目にいっぱいに涙が溜まった。
「……来た。お姉ちゃん、私のことを庇って怪我しちゃってね…」
涙を手で拭いながら少女は話を続けた。
「そのまま連れて行かれちゃったの…」
私のせいだ、私のせいだと自分を責め続ける少女の小さな肩に、オビトは優しく手を置いた。
「安心しろ、俺が連れ戻してやるから」
「……本当?」
「ああ、本当だ」
オビトは力強く頷いてみせた。
*.。*.。
ここは…どこ……?
ゆっくりとサクラは目を開いた。しんと沈んだ湿気のある空気が暗い空間を包み込んでいる。手首足首に付けられた冷たい鉄の鎖を見て、記憶が蘇った。どうやらあのまま気を失って捕まったようだった。
「……やっとお目覚めか」
部屋の向こう側からゆっくりと男が歩いてきた。
「……誰なの」
「黒雲ナズマだ」
「じゃあアンタが《鵺》のリーダーってワケね……」
「よく知ってるじゃねーか」
ナズマはニヤリと笑い、サクラの首に手を伸ばした。
「グッ…!」
気管が狭まり、呼吸が苦しくなった。
「ここより南にあるアジトが壊滅させられた。……お前らがやったのか」
「そう…よ…」
ここで誤魔化したところで何のメリットもないので素直に頷いた。
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時