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「……残念なのはアンタよ」
サクラはニヤリと呟くと、彼女の身体は白煙となって消えた。
「分身!?今のは囮だったのか!!」
だが時すでに遅し。
空中で顔を後ろに向けると、クナイを持ったサクラ本体が今にも攻撃しようとしていた。
「しまった!!」
「これで終わりよ」
鮮血が飛び散り、敵はそのまま地面に打ち付けられた。起き上がってくる様子はない。
「さて、と……」
サクラは背後の木の上から様子を伺うもう一人の存在に気づいていた。
「残るはあと一人ね」
「……気づいていたか」
その敵は弓矢を携えていた。今までの戦いから考えると、あの矢にも毒が塗られているだろう。
「すぐに終わらせてやるわ」
「フン、どうかな」
敵は弓の弦を弾いた。
あの距離から撃っても私に届くまでにはタイムラグがある。しっかり見てさえいれば避けられる。
サクラはそう判断し、弓矢を注視した。
「残念、お前じゃないよ」
敵は笑いながら、的を少女に定めた。
_____あの子が危ない!
気がつけばサクラの足は動いていた。
小さな少女を庇い、サクラの背中に矢が数本突き刺さった。
「……怪我は…無かった?」
焼け付くような痛みに耐えながらサクラは少女に笑いかけた。
「うん……大丈夫。でもお姉ちゃんが…」
少女の大きな瞳からポロポロと涙が溢れる。
「……心配…しないで…こう見えても私は医療忍者だから……」
______私が庇うのを分かってわざとこの子に向けて攻撃したわね…。
傷の痛みと共に勃然と怒りが湧き上がった。
まずは一旦この場から離れて立て直そう。そう判断したサクラは立ち上がろうとした瞬間、身体に違和感を感じた。
「お姉ちゃん…どうしたの?」
立ち上がれないサクラを見て少女の顔に更に不安の色が広がった。
「やっぱり矢に毒が……」
「フフ…その通りだよ。子供一人を庇ってそのザマとは呆れたもんだよ」
毒が回り、焦点が合わなくなった。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
少女の泣き顔が、悲鳴が、だんだんとぼんやりとしていく。
「……大丈夫…よ」
呂律も回らなくなったサクラはそこでプツリと記憶が途切れた。
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時