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「敵の情報によればこの辺にアジトがあるのか」
次の日の昼過ぎ、二人は敵から聞き出した場所に辿り着いていた。相変わらず岩山が大地を覆い、所々に小さな林がある。
この景色もそろそろ見飽きたなとサクラは思った。
「これから二手に分かれる」
「分かりました」
「だが一人での戦闘は禁止だ。敵を見つけたら交戦せず、すぐ俺に知らせろ」
サクラはコクリと頷いた。
*.。*.。
____見つけた。
サクラは茂みに身を潜めていた。彼女の視線の先には小さな洞窟の入り口。そして周りにいる数人の敵。
早くオビトさんに知らせないと…
Uターンをし、元来た道を戻ろうとした瞬間、地面に生い茂る草に紛れ込んだ糸に足が引っかかった。それと同時に大きな丸太がサクラをめがけて飛んでくる。
「敵が来たぞ!」
発動したトラップで、敵にも自分の存在に気付かれてしまった。サクラは丸太を避けながら唇をきつく噛んだ。
クソ…不注意だった。きっとこれは戦闘は避けられない。
遠くで敵だ敵だと騒ぐ声が聞こえてくる。サクラは仕方なくクナイを手に取った。
____オビトさんごめんなさい、どうやら命令無視をすることになりそうです。
サクラはそう心の中でオビトに謝まり、手にしたクナイを勢いよく放った。
キンキンキンと耳をつんざくような金属音が鳴り響く。火花を散らしてぶつかり合ったクナイが地面に落ちた。
敵は10人ほど。だけど一人一人はそれほどでも強くなさそうだ。あとは毒にさえ注意していればちゃんと対応できる……。
攻防を続けながらサクラは今の状態を冷静に整理してきた。
ふと4、5メートル先で、ロープでグルグル巻きにされた少女が《鵺》の団員に連れられて歩いているのに気がついた。
ここで派手な戦闘をすればあの子も巻き込まれてしまうかもしれない。早めに終わらせなければ…。
「ハァァァッ」
サクラは自分の横に生えていた大木の幹を両腕でガッシリと掴み、持ち上げた。
「な、なんだアイツ……」
周りの敵は異様な光景にたじろいだ。
「女を…舐めんじゃないわよォッ!」
力一杯に大木を振り回すと2、3人ヒットした。
毒で相手の身体に直接触れられないのなら、何か武器を使って攻撃すればいいだけの事。
大木を避けようと宙に飛んだ敵にサクラはクナイを投げ込んだ。
「フン、残念だったな」
向こうもクナイを取り出し、サクラの投げたクナイを全て弾いた。
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時