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綱手、サクラ、オビトの順に列を作って火影室へ向かう一行。
「おい、オビト置いてくぞ」
綱手から叱責を受けてもオビトは尚、辺りを見回し、列から2.3m程の遅れをとっていた。
オビトは少し小走りでサクラと綱手の元に駆け寄った。
「……外に出るのは久しぶりだ」
「そうですよね」
歩きながらサクラは相槌を打った。
「ずっと暗いところにいたからまだ目が慣れん」
「すぐ、慣れると思いますよ」
オビトは深く息を吸った。
地下のカビ臭い牢獄とは全く違う。驚くほど空気が澄んでいて、世界全体が明るかった。
世界はこんなに綺麗なものだっただろうか?
真っ青な空にゆったりと流される雲。風に揺れるタンポポ、アザミ、オオバコ。そして、目の前で歩く女と同じ名を持つ桜の花……。
どうして俺は今まで気づかなかったんだろう。
偽物の世界だと決めつけ、周りにあったものが見えていなかったことをオビトは改めて気付かされた。
「オビトーっ!早くしろ!」
遠く向こうで綱手が怒号を上げ、それを見てサクラは苦笑している。周りの景色に目を奪われ、また列から遅れてしまっていたようだった。
「……今行く」
せっかちな女だ、とオビトは溜息をついて足を早めた。
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時