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「私が世話役……?」
なぜ世話役に私が抜擢されたのだろうか。 そもそも私は医療を学ぶ身。それなのに、そのような仕事を私に任せるということは何か理由があるのか……。
腑に落ちない顔を見せるサクラに綱手がニヤッと笑った。
「不思議そうな顔してるな」
「ええ、まあ…」
綱手はすくっと立ち上がった。
「着いてこい。すぐわかる」
*.。*.。
カツン、カツンと綱手とサクラの靴音が薄暗い廊下に響いた。
「それにしても…こんな地下に牢獄があるなんて知らなかったです」
歩きながらサクラは周りを見渡した。地下にあるため、ジメジメして少し黴臭い。地中から漏れだした水だろうか、床は薄く水が溜まり、ところどころ苔が生えて滑りやすくなっている。辺りを囲う岩壁に設置されている蝋燭が無ければ真っ暗で前へ進めなかっただろう。
「ここは木の葉の者の中でもごく少数の者しか知らない特別な監獄だ。主に重罪人が捕まっている」
「その重罪人の世話を私が……」
余りにも荷が重く過ぎる。私なんかで務まるのだろうか……。
サクラの不安な気持ちを汲み取ったのか綱手はサクラの背中を叩いた。
「痛っ!!」
加減をしたつもりなのだろうが、相手はサクラの師匠である。息が止まりそうな程痛みが走ったのは言うまでもない。
「そんなに心配しなくてもいい。正直私は奴を拘-禁しなくてもいいと思ってるしな」
「……どういうことですか?」
「私は監獄に入れておくのを反対したんだが、上層部達からの反対されてな……。そいつはお前もよく知っている奴だ」
「……?」
「着いたぞ」
綱手は足を止め、何重にもかけられた鍵を一つ一つ外し始めた。
「……ったく、いくつ鍵をかけてるんだ…」
綱手が文句を言っている横でサクラは鉄格子の向こう側に目を凝らした。しかし、まだ目が慣れてないせいか中がよく見えない。
鍵を外し終え、躊躇なく中へズカズカ入っていく綱手にサクラはギョッとした。
「し、師匠!大丈夫なんですか!?」
「ああ、平気だよ。鎖で繋いでおいてるし、術も使えなくしてある」
綱手が手に持っていた蝋燭で中にいた人の顔がぼんやりと浮かんできた。
ガタイの良い身体。短髪の黒髪。整った顔の右側全体を覆う歪な模様。そして暗闇で血色に底光りする瞳。
「オビト……さん?」
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時