優しい嘘と冷たい言葉 (ページ38)

今日:19 hit、昨日:34 hit、合計:1,222 hit

035 ページ38

コンコン…
緊張しながら病室のドアをノックする
…こういうのってノックするべきなのか…否か…
よくわからない
お見舞いなんて生まれてこの方1度も…あぁ母となら来たことがあるか…
でもそれも何年も昔のことだ

「…はーい、どーぞー」

聞こえてきたのは間違いなく彼女の声
なんか、半笑いなんだけど…

扉を開けようとするとあかない
…よく見たらスライド式だ…これ

彼女の笑い声がさらに大きくなるのに気づく

あぁ…もう…

病室に入ると彼女がケラケラと笑っていた
…そういえば個室…なんだな…

「あははっ…ドアノブないのになんでスライド式って気づかなかったの…ふふ…」

「…ちょっと緊張してただけよ、こんな大きな病院何年かぶりだし」

「それならお見舞いのプロこと姉上がいるのにー！連れてこれば良かったんじゃ…」

「生憎、あの子は今日急用があるんだってさ
…というか優希…この前、公園であった時から思ってたんだけど
性格、変わってない？」

「人は成長するもんです！
梨愛ちゃんだってなんかあれよね変わったよねなんか、うん」

…なんかって何よ

「はいはい、すいませんね
相変わらずな私で」

「ええー！！
ちょっと拗ねないでよ！
そんな、たかが数年だよ？
そんな数年で変わらない人だって沢山いるよ！」

「…周りの子は高校デビューならぬ中学デビューをしたり
ピアス穴開けたりしてる子います…」

「マジ？ピアス開けたのか…
最近の中学生ってこんなものなの？」

…多分、そういうもの
私は持ってきたノートを優希に差し出す

「わっ…何これぇ…」

「何って…小学校の勉強
まともにしてないでしょ？
ただでさえ小学6年の二学期から学校来てないのに…勉強内容も頭に入ってなかったら将来職に付けないわよ」