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帰り道
夕焼けに染まった坂道をとぼとぼと1人で歩く
あの後、桃海が事情を説明していたのか私は何も言われなかった
けど、結萌は先生に何か言われていた
何を言われていたのかは分からない
私は彼女に何も言えなかった
勇気が出なかった
明らかに不機嫌な彼女は何を考えているのか分からなかった
いつも表情が豊かだから余計それが怖かった

「私達友達だよね!」…その後に彼女は何を言おうとしていたんだろう
…せっかく心を開けたのにまた、バラバラになってしまうのだろうか
…それは嫌だ
だけど、私に何ができるのだろう
家に帰る気にもなれず自宅の近くの小さな公園のブランコに腰をかける

「…」

キーキーとブランコが音を立てる

「…ちょっと、隣いい?」

「…へ?」

うんともいいえとも言っていないのに声を掛けてきた女の子は隣のブランコに座った
麦わら帽子を深くかぶっていて顔がよく見えない

「お姉さんどうしたの こんなところで
1人?寂しくない?虚しくならない?」

…なんだこの子…唐突になんでそんなこと聞いてくるの

「…別に、寂しくなんかないわよ」

キーキー
足をパタパタと宙に浮かせる
その度にブランコが音を立てた

「…寂しくなんかないわ」
「嘘」

やけに通る声でその子はそういった

「嘘だよ
だって貴方、寂しくて仕方がないっていう顔してる」
「…っ」
「私には自分に嘘ついて自分に言い聞かせようとしているようにしか見えないな」

「そんなこと」
「あるよ」

私の言葉に彼女は言葉を被せてきた
そして、一呼吸おいて彼女はこんなことを言った

「ちょっと、お話してあげる」

今回も私の返事を待たず彼女はたんたんと話し始めた

◌ ͙❁˚
…ある日の昼下がり元気な赤ちゃんが生まれた
出産予定日より少し早く生まれてきてしまったから両親や身内は心配していたが赤ちゃんが元気な産声をあげたので皆安心したんだ

その赤ちゃんは気の強いだけど、優しいこに育った
家族が傷つけられるのは許さない子だった
頭もいいし、運動神経もいい
コミュニケーション能力も高かった
…けれども彼女はとてつもなく不器用な子だった
それは裁縫とか折り紙とかそういう制作をする上での不器用とかではなく

自分の感情を相手に伝えることが不器用だった

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夢咲花 - これからがとっても楽しみです (2019年3月5日 15時) (レス) id: 3588ccbe80 (このIDを非表示/違反報告)
夢咲花 - 書いてくださってありがとうございます (2019年3月5日 15時) (レス) id: 3588ccbe80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2019年3月4日 20時

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