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シャッターを押して帰ってくると夜20時。
電気も付けず、カーテンを開けたままだった部屋は
気づけば暗くなっていた。
戻ってきた俺は、
あるものを探そうと
立ち上がって部屋の電気をつけた。
大昇「どこにしまったっけな」
机の引き出しを開けて、
ごちゃごちゃと小物の中から探す。
大昇「あった……フィルム」
奥にしまっていたのは、
Aから貰ったフィルム。
那須には伝えていなかったけど、
席替え終わり、Aが忘れ物を取りに来た時に、
“これあげる”とフィルムを貰っていた。
その時の俺は、
なぜフィルムを貰ったのか理解ができず、
家に帰って、机の中にしまって置いた。
今よく見ると、うっすらと何かが映るフィルム。
Aが何を撮っていたのかが残っている。
大昇「あ、そうだ」
それを、現像することを思い付いた。
家にあるフィルムスキャナを取り出し、
筒状に巻かれたフィルムをレールに通した。
1枚目に撮られた中身から確認すると、
大昇「………え？」
大きく口を開けてあくびをした……俺の姿が映っていた。
なんで……？
その他も確認しようと、
2枚目、3枚目と覗くと、
教室の写真、ペットの写真と俺の姿では無かった。
そのまま中身を全部確認しようと続けても
他の写真は、食べ物や風景などが写っていて、
俺の写真はもう見当たらなかった。
そして、最後のページを確認してみると
何も撮られていない余ったフィルムが残っていた。
これで終わりだ、とスキャナから取り出すと
最後のフィルムにうっすら文字が書かれている事に気付いた。
その文字を見ようと、
天井の電気に合わせて透かせると
“好きな順番”
と書かれていた。
大昇「……ずりぃよ」
この順番だと
俺が1番目に来てしまう。
数ある写真の中、俺が1番ってことになってしまう。
あの時、
俺にフィルムを渡したという行為が
Aの想いを伝えたことと同じになる。
……俺のバカ、アホ、クソ野郎。
もっと早く気づけば良かった。
今更後悔しても遅い。
大昇「俺だって、好きに決まってる」
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作者名：ホワイトチョコ | 作成日時：2022年6月20日 21時
