もしもこの恋が出来たなら2 (ページ21)

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翌朝、

俺は成績不十分という理由を付けられ、

朝練から追い出されていた。

龍我「げっ、またかよ〜〜」

本練以外なら参加できると思ったのに。

顧問に少し睨みを利かせ、

俺は諦めて自分の教室に向かうことにした。

時刻は午前7時。

校舎は、人の足音すら聴こえない静寂に包まれていた。

まだ一日の濁りがない透明な空気。

どこかその新鮮な雰囲気に意気が上がった。

龍我「なんか、良いかも！こういうのも！」

『こういうのって？』

突然、昨日ぶりに聞いた声が聴こえてきた。

足音がしなかった後ろを振り向くと

龍我「A先輩!?」

A先輩が立っていた。

『おはよう、まさか私のこと覚えてるなんて』

また今日もそうだ。

先輩は俺に媚を売らない。

龍我「そんなの、覚えてるに決まってるじゃないですかぁ！」

それでも俺は、いつも通り愛想良く返事をする。

可愛い笑顔と、無邪気な言い方。

それから元気いっぱいの声。

流石に、今日こそは俺にキュンってするでしょ。

『うわ出た、あなたのあざとい返事。』

ですよね。やっぱり効果はありません。

“うわ出た”とか声に出すくらいだよ？

龍我「まぁ！そう言うと思ってましたよ！！！」

『だったら、やるだけ無駄じゃない笑』

う……まぁ、無駄かもしれない。

昨日初めて会った時から、サバサバしてたし。

それでも、俺が懲りずにあざとい返事をするのは、

龍我「A先輩が、俺の返事でキュンってしてくれるか、笑ってくれるか、どっちかに当たればいいな〜って思ってるんす！」

『はは笑、なにそれ笑』

龍我「だって、初めてだったんですもん」

『何が？』

龍我「興味が湧いた人！」

最後の言葉を元気よく答えると、先輩は呆れたような顔をした。

『はぁ……笑、私をおもちゃ感覚で遊ぶのだけはやめてよね』

それは一見、冷たいような返事だと思ったけど、

俺に目線を合わせて微笑んだ姿は、

少し距離が縮まったような気がした。

龍我「だったら俺、本気で先輩を落としてみせます！」

『え、冗談でしょ？』

龍我「本気です！絶対俺の虜にして見せますから！」

俺の一言は、朝の空気を少し淀ませた。

龍我「おもちゃじゃないって証明します！」

突拍子も無く、恋のゲームのゴングが鳴った。

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