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「私はその間実家に帰っておくから、6人で行ってきてよ。お泊まりしちゃってさ。」
「なんで?来なよ。楽しいよ。Aちゃんだって全然遊べてねぇじゃん。」
「無理だよ。リハビリがもっと上手くいっても、今年の夏中には海になんて行かれない。」
「移動するときおんぶするよ?ジェシーとか慎太郎が。」
「私はこれ以上みんな迷惑かけたくないし、6人でいるときを邪魔したくないの。ほら、他の誰かが加わると変わっちゃう空気感とかあるじゃない?」
「そんなのねぇよ。」


 樹くんの眉毛がグッと下がる。悲しいのか怒っているのは判断はできないけど、気にせず話を続ける。


「どうしても私にはできない話もあるだろうしね。…私のことを忘れて楽しむ時間が必要だと思うの、北斗くんには。」
「なんでそう思うの?」
「だってずっと2人で部屋にこもりきりで、生活のほとんどを私の世話に費やすなんて不健康だよ。やっぱり私は実家に帰るべきだった。」
「北斗だってやりたいからやってんだべ?Aちゃんが退院する前に、Aちゃんのことご両親から任せてもらえたって大喜びだったぞ。」
「…すごく嬉しい。でも、それでもよ。私のために北斗くんの人生が消費されていくのに、すごく抵抗があるの。わかるでしょう?」
「消費ってそんな言い方…」


 カチャリと鍵の回る音がして、玄関からただいまーという声が聞こえる。何か言いたそうに口をまごつかせている樹くんに、声のボリュームを落として今の話は北斗くんには内緒ね、と言った。樹くんは納得できないという顔で渋々頷いた。樹くんはたまに女の子を泣かせるけど基本的には誠実な人なので、頷いた手前北斗くんに言うことはないだろう。


「おかえりなさい。」
「お留守番大丈夫だった?」
「うん、楽しくおしゃべりしてた。お買い物ありがとう。」
「Aちゃんって結構面白いよな。」
「Aのことよく知ってるみたいな言い方やめてくれる?俺の方が知ってるんだから。」
「出たよ、北斗の嫉妬。」
「可愛いよね。私が北斗くんにしか興味無いの知ってるはずなのに。」
「はぁ〜!このカップル!俺がいるのに!」


 樹くんは日が沈むまで家にいて、3人で楽しく話した。何度か私に何か言いたげな視線を寄越したけど、無視をした。どうか、私のお願いを聞いて欲しい。




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設定タグ:sixtones , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:睡蓮 | 作成日時:2023年5月30日 1時

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