�� ページ4
普通だったら「おい、目を見て話せ」だの「聞いてるのか」などと聞くが男性は「それはよかった。今度から気をつけろよ」と言ってその場を去っていった。不思議な人だ。人間の敵とも捉えられる者への態度があんな、優しい人は初めて見た。かと言って、その人とまた話したいとは思わなかった。
化け物は化け物、人間は人間。自分の中ではそのように壁で区切っている。実際問題、区切られているのだが。
生まれたときからそうだ。この世界には見えない壁がいくつもある。男と女の壁、裕福と貧困の壁、人間と天人の壁……。もちろん互いに仲良くしているところもある。だが、本質的に異なっているため、表面上でしか仲良くできない。差別とは違うが、差別していないとはとても言いがたい。そんな不安定な壁。
「私、あの子と仲良くなりたいな」
「えー、やめときなよ」
「え？」
「だって、あの子は私達と違うんだよ？」
「ふーん……そうなんだ」
「だからさ、そんな子放っておいて、私と一 緒に遊ぼうよ」
「分かった！」
そう言いながらパタパタと離れていく足音を何回聞いただろうか。もうそんな惨めな思いはしたくない。悪夢を繰り返したくはない。
深呼吸して、できるだけ下を向きながら目的へと歩く。視線は違うところに向いていると祈りながら。私を見ないでと願いながら。
＊
目的、いわばスーパーにつく。やっとついたと安心する間もなく、必要なものをさっさっと買っていく。今日の夕飯何にしようなどと考えながら。
「マスクはいりませんかー」
「一枚なんと三百円！」
レジへ足を運ぶ途中、突如として大きな宣伝が流れた。驚くほど棒読みで。それもそのはず、隠すように置かれた白いラジカセからそれは流れていたから。まるで恥ずかしいとでも言うように置かれたそれに妙な親近感を抱く。同じようなものだからだろうか。本質的にはまるきり違うが、中身は機械も人間も同じなのだろう。例えそれが人為的なものだとしても。フッと少しだけほほえみながらその場を去る。長居は禁物。少しでも早く帰って布団で休もう。
買い忘れはないか。一応確かめるため、人の少ない場所でかごの中をサッと見る。そういえば何か買い忘れている気がする。それを買わなければ。焦燥感に似たなにかに足を動かされ、いつの間にか到着。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←��
ラッキーアイテム
デニムタイトスカート
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狗冰(プロフ) - あきらさん» わぁ！はじめてのコメントありがとうございます！もう感謝感激です！これからもこの作品をよろしくですz (2020年2月5日 0時) (
レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 面白い作品なので毎日ちょっとずつ読んでいこうと思います！！ (2020年2月5日 0時) (レス) id: f3362b0de8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狗冰 | 作成日時：2019年6月9日 19時
