プロローグ ページ2
「お前なんか死んじまえばいいのに」
「こんなお荷物どこかで燃やしても誰も悲しまないだろ」
「や、やめてください！」
「ああそうだな。こいつは社会のゴミだから燃やしても捕まりはしねぇよ。むしろ感謝されるだろう」
「や、やめろ！」
「どうした？ 火を怖がって……お前は不死身だから焼いても埋めても死なねぇよ」
「い、嫌だ！ 来るな！」
「うるさい餓鬼だねぇ。とっとと燃やしちまえ！」
「う、うわぁぁぁぁぁ！」
＊
時計がジリリリ……とけたたましく鳴り、はっとして目を開ける。良かった……どこも痛くない。冷や汗なのか多少、濡れた感じはあるものの着替えればなんとかなると思い、気づかぬふりをする。
幼い頃の記憶が夢として時々出てくることがある。それはやっとのことで固まった瘡蓋を容赦なく引き剥がし、鮮血が溢れ出ている生傷に塩を塗るような痛みを思い出させる。
鏡を見れば、いつも通りの赤い目が自身を見つめ、口を少し開ければ牙がその鋭さを見せつけるように覗き、寝て乱れた髪の毛をワシャワシャと荒めに梳かすと、とんがった耳が存在を主張し、そのどれもが他と違うことをあらわしていた。思わずため息をつく。まぁこれも毎朝繰り返されること。今更、この容貌を恨む事すらない。とうに諦めているからか。
口の中はなんだか苦くて、ただでさえ嫌いな自分をさらに嫌いになる。また違うと。違うことは個性だという人間がいる。だから違うことを恥じるなと。だが、虐待される『違うこと』は、人から嫌厭される異所は個性ではないと思う。個性というのはもっと尊重されるべきものの一つだと思う。だからこれは人にとっては個性だろうが私にとってはただの鎖だ。
小さな子供のように、私だけなんで違うの！ と怒り、悲しみ、目から涙を落とすことはもうない。あるのは後悔だけだ。
ーー私が、あのときもっと強ければ……。そうすれば死なずにすんだのかな……。
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狗冰(プロフ) - あきらさん» わぁ！はじめてのコメントありがとうございます！もう感謝感激です！これからもこの作品をよろしくですz (2020年2月5日 0時) (
レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 面白い作品なので毎日ちょっとずつ読んでいこうと思います！！ (2020年2月5日 0時) (レス) id: f3362b0de8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狗冰 | 作成日時：2019年6月9日 19時
