陸拾陸話 ページ22
「お目覚めになられましたか、おはようございます」
『随分と悪いお目覚めでしたよ』
いつにも増して嫌味ったらしく話すA。
それをさらりと受け流して正和は口を開く。
「いやはや、まさか鬼殺隊の柱二人を捕まえられて喜ばしいかぎりです」
「………(柱が捕まるなんて)情けない」
『そうだね。油断していたからとはいえ、御館様には情けないよ』
義勇の言葉が分からなかった正和は「?」となっているが、Aはすぐに言いたいことを察知。これぞ小説の力なり。
『正和さん、これは私の予想なんですが……貴方、今回のコレは初めてでは無いですよね?
実は最近、ここら一体で私達の仲間が行方不明になっているんですよ。その仕業も貴方ですよね?』
「おやまぁ、流石にバレていましたか……勘が鋭いですね」
『そうですね、"勘"は鋭いですよ』
にこにこと話すAに、義勇が少し引いたのは言うまでも無い。
最後にこのような口調になったのはいつだったか……初任務で十二鬼月を相手した時と似ているかもしれない。
『私の考えからすると、貴方は鬼と繋がっていますね?こうして鬼殺隊の人を捕まえて鬼に献上しているのでしょう。その代わりとして貴方は何を貰っているのですか?』
「まさか、そこまで知っているとは、お見事な推理力ですな!」
「……うるさい、早くしろ」
今まで黙っていた義勇も流石に気分を害したのだろう。
彼も苛立ちを込めた声で突き放す。
今度こそ失敗しないように、Aは自身の能力に集中する。
前とは違い、かなり成長はしてきた。今までよりも先の事を予知し出す。
「そうですね、私は確かに鬼と繋がっています。私がやる事は鬼への供物として人間を捧げること。その見返りとして、私は鬼から不必要な人を消してもらっているのです」
「不必要な人だと……?」
『おおよそ、政治上や私情関係の人間ですね』
どの時代でも、金持ちや政治の人は互いに蹴落としながら上り詰めている。
「またしても……貴女の頭脳は素晴らしい。どうです? その私の為に貴女の頭脳を貸していただけませんか?」
『な―――――ッ!?』
「――戯けが、Aが貴様なんかにつくはずが無いだろう」
一瞬、激昂しかけるAを抑え、義勇が淡々と怒りをぶつける。
(待って、義勇がカッコよすぎて惚れたんですけど!? 流石は私の推し!)
そんな義勇を見て、Aはいつも以上に胸を高鳴らした。
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尊い - 続きが速く見たいです (2022年3月26日 23時) (レス) @page11 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 続きが気になるぅぅぅぅうぅぅう!!!!更新楽しみにしてます! (2022年3月18日 8時) (レス) @page11 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わんフル | 作成日時:2022年2月22日 8時