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「……そうだ……」

まだ幼かった頃の記憶。
姉を見て、思い出した。

(「ねぇ、一虎」
『なあに?』
「もし何かあったら、いつでも姉ちゃんに言いなよ」
『……?』
「大事な家族で、大事な弟なんだから
聞かなくたって一虎の味方だよ」)

そう言って微笑む姉の姿。
どうして今まで忘れていたんだろう。

(いつも、そうだ
側にいて……守ってくれてた)

血を流し動かない桜に場地が懸命に話しかけている。
マイキーはただ一虎を殴り続けており
タケミチは立ち尽くしていて。

(オレは、一番大事なモンを、壊しちまったんだな
裏切ったのは……オレの方、だった)

目を閉じる一虎
桜に声をかけていた場地が驚いた顔をする

(ごめん……ごめんなさい、姉ちゃん)

桜の目が開いた
場地は驚きながらも安堵していた
ふらふらと彼女は立ち上がる

「っオイ、桜、無理すんな」
『っ……万次郎君を、止めなきゃ、でしょ』
「お前……!」

がしがし、と場地が頭をかいて
マイキー!と一虎を殴り続ける彼に声をかけた
万次郎君、と彼女も精一杯声を出して彼を呼ぶ
桜と場地の声が届いたらしく、マイキーは殴るのをやめて振り向いた

『万次郎、君
一虎に怒ってくれて、ありがと
でももう、いいよ』
「……サクラ……」

タケミチも桜がまだ生きている事に安堵した
しかし、刺された傷が深いことにも気づいていた
動いちゃダメです、と桜を止める。

『武道君……』
「桜さんを、死なせるわけには行かないんです」
『……ごめん
それでも、私は……』

武道の制止も聞かず彼女は歩き出した
ボタボタと血が傷から滴り落ちる
姉の足音に気づいた一虎がハッと目を開けた
『一虎、』

桜が名を呼ぶが、彼は何時もの様に返事を返せなかった。
横たわる一虎の隣に、桜が座る
血まみれの姉の姿を見て動揺した顔をする彼に
桜は笑いかけた

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あまね(プロフ) - まってます (8月27日 18時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - すごく面白いです!更新、お待ちしてます! (7月21日 15時) (レス) @page35 id: 6355dc07ef (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 泣きました! (7月14日 2時) (レス) @page35 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 雪(プロフ) - めっちゃ面白い!というか一虎尊い!!落ちは真一郎君がいいです!更新楽しみにしてます!待ってます! (2022年5月10日 21時) (レス) @page35 id: f98270bfe7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱいなっぷる - このお話好きすぎる!お話作るのうますぎて尊敬しかないです( ^ω^ ) (2021年12月26日 20時) (レス) @page35 id: ca34c0ec91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:インク | 作成日時:2021年9月13日 0時

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